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ニューヨークの幼稚園事情

2016年07月27日

経済調査部 シニアエコノミスト 橋本 政彦

私事で恐縮ではあるが、愛娘が4歳の誕生日を迎えた。日本で生活しているのであれば、幼稚園の年少に当たる年齢である。この4月から幼稚園に通い始めている日本に住む娘の友人たちから数ヵ月遅れることとなったが、娘も無事入園する幼稚園が決まり、親としても一安心である。しかし、筆者にとって子どもの入園自体が初めての経験である上、日本とは制度が全く異なるニューヨークでの学校探しはなかなか容易ではなかった。

ニューヨーク州では、日本の幼稚園の年中~年長に相当するKindergartenは、義務教育とされているため、各小学校に併設されていることが一般的である。一部の人気校などの例外はあるものの、公立学校だけで全体として見れば十分な定員が確保されている。一方、義務教育ではない、日本の幼稚園の年少に相当するPre-K(Pre-Kindergarten)に関しては、近年公立校の募集枠が拡充されているとは言え、定員が非常に限られている。

募集人数に対して応募者数が上回った場合、抽選によって入園が認められる児童が選ばれるのだが、抽選に漏れてしまった場合、公立ではなく民間のPre-Kを探すことになる。ただし、民間のPre-Kは、3歳以下の児童を預かる保育園(Nursery、Day Care)の延長であることが多く、下の学年から繰り上がる児童が優先されることが一般的であり、空きを探すのが必ずしも簡単というわけではない。

その上、公立のPre-Kが基本的には無料であるのに対し、民間のPre-Kの学費が驚くほど高い。決して名門校とは言えないごく一般的なPre-Kでも、毎月1,000ドル以上の学費がかかるのというのも珍しくない。そうした価格設定でも需要が期待できるということなのだろうが、貧困層にある家計はおろか、いわゆる中流階級にとっても決して楽な金額ではないだろう。

実際、こうした高額の学費を払うことができないために、子どもをPre-Kに入園させない家計は、ニューヨークに限らず米国では少なくない。2013年のオバマ大統領による一般教書演説では、ほとんどの中流階級の家計には週に200~300ドルをプライベートスクールにかける余裕がないため、4歳児のうち質の高い就学前プログラムで学ぶのは10人のうち3人に留まっているとされた。オバマ大統領は全ての4歳児に対して教育機会を提供することを目指したが、小さな政府を志向する立場からの反対意見は根強く、議論はなかなか進まない状況にある。

幼児教育が必ずしも全て無償化されるべきとは筆者も思わないが、高いお金を払ってまで幼稚園に行かせることに、どれだけの価値があるのかということを改めて考えさせられる。娘から聞く幼稚園での過ごし方は、人から伝え聞いた日本でのものとはあまりに違いが大きく、戸惑うことも多いが、オバマ大統領の言う「質の高い」教育によって、娘がどう成長していくのか非常に楽しみである。

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