成長戦略に迫力が感じられない理由
2016年04月14日
安倍政権下での成長戦略(「再興戦略」)の策定は、今年で4回目となる。当初は、アベノミクスによる円安・株高という追い風の中で、成長戦略のパッケージは大いに注目されたが、年を追うごとに期待感が薄れてきたように思われる。昨年の改訂版は「『稼ぐ力』の確立」をキーワードとして、コーポレートガバナンス強化の動きを後押しするものであったが、話題にはあまり上らなかった印象がある。基本的に改訂版であるから仕方がない面もあるが、迫力不足の感は否めない。
さて、今年はどうだろうか。1月の産業競争力会議に提出された検討方針によれば、「第4次産業革命のための制度改革」が筆頭に挙げられている。IoT、ビッグデータ、AIといった分野に生産性を劇的に向上させる活路を見出そうとしている。確かに、これら分野が大きな潜在性を持っていることに異論はない。しかし、政府の成長戦略として書き込まれたとしても、そこに迫力が感じられるかは疑問である。
なぜ迫力が出ないのか。一つには、こうしたキーワードの多くが輸入されてきたもので、後追い的な戦略に感じられてしまうことがあるだろう。そして、政府主導の戦略であることの限界もあるかもしれない。成長戦略に掲げても、実行するのは民間企業である。コーポレートガバナンス・コードを取ってみても、ひとまず導入はしたものの、真に企業経営の変革につながるかは、いまだ懐疑的な見方も残る。“笛吹けど踊らず”では意味がない。
産業が成長するために絶対的に必要なものは、「利潤」の存在ではないかと考える。儲からないところには企業もヒトも集まってこないし、そもそも持続性がない。利潤を獲得するためには、トップダウン的な産業戦略は逆効果となる可能性も否定できない。いくら将来性があると言っても、横並びで参入すれば利潤獲得の期待は高まらないからだ。無論、現代において政策的に利潤を獲得しやすくさせることはできない。
「利潤」の追求が困難化している象徴的産業として金融業がある。世界的なマイナス金利政策の導入は銀行業の収益を中長期にわたって圧迫し続ける懸念がある。こうした中で、いわゆる“Fintech”に活路を見出すべく民間も政府も横並びで動き始めているが、それは、生き残りの必要条件であり、成長のための十分条件ではない。
現代において成長をもたらすのは、横並びではなく“多様性”ではないだろうか。トップダウン的な資源の集中投資ではなく、ニッチ産業への分散投資から生まれるボトムアップ型の成長である。そうした動きが起こりやすくするような環境整備こそ、求められることではないのか。例えば、オープン・イノベーションを強力に促進するような施策、あるいは真に大胆な規制緩和によって、企業の“自由度”を高めるポリシーが明示されれば、迫力のある成長戦略となるのかもしれない。
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