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期待される消費実態の「見える化」

2016年04月04日

経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

公的統計の整備に関する司令塔である統計委員会は、これまで内閣府に設置されていたが、2016年4月1日に総務省へ移管された。2016年3月24日開催の経済財政諮問会議において高市早苗総務大臣は、総務省への移管を機に、統計委員会を中核に位置づけて官民の関係各方面と連携を図りつつ、統計の精度を向上させるPDCAサイクルを確立したいと述べた。

統計とは、社会や経済の状況を把握するために必要不可欠なインフラである。その精度は政策の立案・運営の適切性や効率性にも影響する。統計の精度が低ければ実態にそぐわない施策が実施されかねず、家計や企業に対して想定外の悪影響をもたらす恐れがある。その意味で統計精度の維持や向上を狙う取組みの意義は大きい。

精度向上に向けた取組みとして期待したいのは、代表的な消費統計である家計調査を見直すことである。家計調査は速報性が高く、GDPの基礎統計としても利用されるなど注目度が高い。その半面、サンプル数の少なさから高額消費を中心に不自然な動きがしばしば見られ、毎月公表される対象が二人以上世帯に限定されている。現実には他の関連統計や関連業界のデータなどと併せて見ないと、家計調査だけでは日本の消費実態を把握できない。

3月24日の経済財政諮問会議では、西村淸彦統計委員会委員長が「家計消費は、既存の家計統計では、諮問会議の提言に沿った方法で補正しても、改善の度合いには限界があり、家計統計を景気指標として使うのはかなり難しい」と述べた。そこで、統計委員会はビッグデータ等を利用した新たな家計指標の開発に取り組む方針であるという。それはそれとして注目したいが、過去データの蓄積がある既存の家計調査を景気指標として利用できるよう改善する工夫こそ強く求めたい。例えばサンプル数を増やすなどして、総世帯ベースで毎月公表されるようにすることが望まれる。

サンプル数を増やしてこなかったのは、調査に回答する家計の負担が重い、サンプル数を増やすとデータの集計に時間がかかり速報性を確保しにくいなど、実務面での課題があるためとみられる。そこで例えば、重要な利用目的に支障がない範囲で調査項目を簡素化する、民間企業のノウハウを活かしてICTを活用する、タブレット端末の貸与などで回答者の負担を減らす、といったことを検討してはどうか。

家計調査は、様々な分析の可能性を持つ貴重かつ日本が世界に誇る需要側の統計である。ライフスタイルや世帯構成の変化、人口動態、新たな商品・サービスの登場などにより、嗜好が変化するスピードは増している。こうした下、家計消費の実態をできる限り正確かつタイムリーに、そして誰もが容易に把握できるよう、家計調査の改善が進められることを期待したい。

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神田 慶司

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