NBAファイナルから占う日本の景気動向
2014年05月28日
今年はスポーツのイベントが目白押しだ。
日本でいま最も注目されているのは、おそらくFIFAワールドカップだろう。前回大会では自国開催以外で初めてのベスト16を獲得し、日本中が熱狂したことは記憶に新しい。今回は試合時間が見事に業務時間と重なってしまうため、リアルタイムで見る機会が少ないことは残念でならないが、日本代表には是非とも勝ち進んで頂き、多くの試合を見させてもらいたいと思う。
日本ではワールドカップの陰に隠れてしまっている感が否めないが、元バスケットボール部の筆者としては、NBAファイナルの動向からも目が離せない。レブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートの3連覇がかかっているからだ。
ふと気になったので、過去にNBAで3連覇を成し遂げたチームを調べてみると、マイケル・ジョーダンを擁したシカゴ・ブルズ(91年~93年、96年~98年)、シャキール・オニールとコービー・ブライアントが率いたロサンゼルス・レイカーズ(00~02年)など、往年の名チームが名を連ねた。
マイアミ・ヒートが上記のような名チームに仲間入りできるか、という点にも興味があるが、筆者の関心を一層駆り立てるのは、NBAの連覇の歴史と日本の景気動向の関係である。
図表に示した通り、1990年以降にNBAで3連覇が達成された期間のどこかで日本は1度景気後退を経験していることは非常に興味深い。今回もその例に違わず、マイアミ・ヒートの連覇が始まった2012年から、日本はいわゆる“ミニ景気後退”を経験した。この絵を見ていると、「今後景気後退に突入するのか?」と思うかもしれない。しかし、筆者は、マイアミ・ヒートが連覇している期間にすでに景気後退を経験しているので、マイアミ・ヒートが優勝し続ける限り景気後退には陥らないとみている。すなわち、日本経済は2014年4月の消費税増税に伴う一時的な落ち込みののち、回復軌道を辿るだろう。

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- 執筆者紹介
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経済調査部
シニアエコノミスト 久後 翔太郎
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