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2014年5月の欧州議会選挙の注目点

2013年12月09日

経済調査部 主席研究員 山崎 加津子

欧州の2014年のイベントスケジュールでは英独仏伊西の主要国の国政選挙は予定されていないが、5月22日から25日にかけて欧州議会選挙が実施される。欧州議会とはEU(欧州連合)の立法機関の一つで、その議員はEU28か国の国民による直接選挙で選ばれる。来年の欧州議会選挙は、2009年12月に発効したリスボン条約で欧州議会の権限が強化されてから初めての選挙であり、その権限強化が欧州議会の存在意義の評価を高めて、これまでの投票率低下傾向(1979年62%→2009年43%)に歯止めがかかるか注目される。また、リスボン条約により、欧州議会の選挙結果は、2014年10月末に任期切れとなるバローゾ欧州委員会委員長の後任候補者選定に直接反映されることになるため、この点でも注目される。なお、欧州委員会はEUの行政機関で、法案提出と政策執行を担当している。

とはいえ、一番の注目点は、ここ数年の各国の国政選挙で台頭した反EUや反ユーロの立場をとる政党がどの程度欧州議会で勢力を伸ばすかである。反EUと一口に言っても、厳しい財政赤字削減策を迫るEUへの反発、EUに権限が一段と集中することへの警戒、移民増大への反対など主張するところは必ずしも一致していない。ただ、すでに欧州議会に議席を有するフランスの国民戦線(FN)とオランダの自由党(PVV)は来年の欧州議会選挙で協力することで合意した。オランド大統領の支持率が急落しているフランスで、国民戦線は国内の世論調査で20%を超える支持を得ており、欧州議会で勢力拡大を狙っている。選挙結果で注目されるのは、この反EU勢力の台頭が新しい会派の誕生につながるかである。欧州議会には現在、キリスト教民主主義系、社会民主主義系、自由主義系など7つの会派があるが、会派形成にはEU加盟国の4分の1以上の国から25名以上の議員が参加する必要があり、反EU勢力の会派はまだ存在しない。

反EUを掲げる勢力の台頭は、欧州統合を推進してきたEU主流派にとって脅威と受け取られる事態であろう。ただし、移民排斥の手段に暴力を選ぶのは論外だが、EUに対して懐疑的な意見は、一部の国民の意見として確かに存在する。そのような意見を代表する会派が形成され、公の場で議論が行われることは、欧州の民主主義強化のためにむしろ一歩前進であると考えられる。

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