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「想定外の」出来事への対応

BCPからBCMへ

2013年10月30日

中野 充弘

地球温暖化の影響のためか、今年は台風や記録的な集中豪雨による被害が多い。また、近年工場の爆発事故(2012年4月三井化学岩国大竹工場、2012年9月日本触媒姫路製造所など)や公共インフラの事故(2012年12月中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故など)等も目に付く。さらに地震など大災害への対策も引き続き大きな課題となっている。このような「想定外の」出来事に対して、企業・組織はどのように対応すべきであろうか。

昨年9月に修正された防災基本計画(中央防災会議)の中で、「企業・組織の事業継続や供給網の管理、保険制度や相互支援の取組等を通じて、災害リスクにしたたかな市場の構築を推進する」(第2章 防災の基本方針より抜粋)と表記されている。防災は国や地方公共団体に任せるのではなく、国民全体が幅広く係るべきであるが、とりわけ最近では企業に対する期待も大きくなっている。そこで内閣府の事業継続ガイドライン第3版(2013年8月)を参考に最近の動きをまとめてみよう。

事業継続ガイドラインは2005年(第1版)、2009年(第2版)と策定してきたが、今年第3版がまとめられた(下記の内閣府HP参照)。今回のポイントはBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン:事業継続計画)からBCM(ビジネス・コンティニュイティ・マネジメント:事業継続マネジメント)への意識改革だろう。BCPは当初は認知度も低く、非常時の緊急マニュアルのような位置付けであった。企業においても総務部門などが中心となり、拠点ごとで対策をまとめるというものが多かった。しかし、2011年の東日本大震災などの体験から、防災は全社的に取組むべき問題であり、経営トップにとっても経営戦略を考える上で避けて通れない重要な課題となった。こうした経緯からBCMの考え方にシフトしてきた。

例えば、拠点となる工場が被災した場合、現地復旧戦略(いかに早く回復させるか)だけではなく、代替戦略(代替拠点の確保など)も必要となってきた。そのためには各企業において原材料なども含めたサプライチェーンを詳細に検討し、他社を含めた連携体制を構築しなくてはならないだろう。従来は「計画書を作っておしまい」というケースもあったが、これからは「計画をどのように実効性のある形に見直すか」「社員全員に事業継続問題を認識させるにはどうすればよいか」などが重要となる。また、地域における企業の役割や従業員がボランティアとして参加しやすい環境整備なども検討されるべきであろう。こうした一連の動きが企業の評価を高めることに繋がるに違いない。

ガイドラインでは、経営者は「BCMの必要性とメリットを理解し、相応の時間と労力、投資が必要であることも理解した上で、BCMの導入を決定し、自社の重要事項として実施させること」と指摘されている。経営者のリーダーシップが、平常時にも有事にも求められている。

参考資料:内閣府 事業継続ガイドライン

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