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個人株主にクリスマス・プレゼントを

2013年10月03日

木村 浩一

アメリカでは、2012年末に増配した企業や、翌年である2013年に支払う予定の配当を前倒しして2012年中に配当を支払う企業が続出した。これは、オバマ大統領の再選によりブッシュ減税が失効し、2013年に支払われる株式の配当から、株主に課される税金が増えることになったためである。アメリカ企業は、個人株主の税引き後の配当収入を増やすため、2012年に配当を多く支払い、個人株主に報いたのである。配当増加は株主にとってクリスマス・プレゼントとなり、低空飛行が続くアメリカの景気、個人消費を下支えする効果があったと言われている。

我が国でも、小泉政権時に「貯蓄から投資へ」のスローガンの下、2003年から始まった証券税制の優遇措置が2013年末に終わり、原則1割の上場株式の配当金の税率が2014年1月から2割に上昇する。証券税制の変更は、株式投資の成果に大きな影響を与えるが、税引き後手取りで9割から8割への配当収入の減少は、株主、投資家にとっては大きな違いとなる。

3月期決算企業が多い我が国の場合、年内の配当支払いは12月頃に支払われる9月中間決算の配当が最後となる。多くの企業は、年度の業績をみながら年間の配当を中間配当と期末配当に振り分けて株主に分配している。企業業績の変動が激しい企業は難しいだろうが、年間で利益が見込める企業は、来年6月頃に支払う期末配当の何割かを中間配当に前倒しして増配することも可能だろう。

上場企業は、当然、前倒しせず予定通り配当して2割に増えた税金を徴収して財政再建に貢献する道もあるが、個人株主の手取り配当を増やして個人消費を促し景気回復に貢献する、という選択肢もあろう。筆者個人の実感としては、配当はイレギュラーな収入であり、貯蓄に回るというよりは個人消費に直結するのではないかと思う。

多くの個人株主は、リスクをとって投資したものの、バブル崩壊後の20年間、報われることが少なかった。上場企業は、優遇税制の最後のチャンスに個人株主に報いたらどうだろうか。日本の個人株主にもクリスマス・プレゼントを。

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