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中国:リコノミクスは「成長なくして構造改革なし」

2013年10月02日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

2013年3月の全人代(国会)で首相に就任した李克強氏の経済政策は、構造改革を柱に据えた「リコノミクス」と称される。具体的には、①景気減速の容認、②経済のディレバレッジ(負債圧縮)と、③構造改革(構造転換)の促進である。しかし、リコノミクスの大前提は、実質GDP成長率は7.5%を下回ってはならず、消費者物価上昇率は3.5%を上回ってはならないとする、「一つの下限と一つの上限」である。すなわち、インフレを抑制しつつ、ある程度の成長率が確保されている限り、経済のディレバレッジと構造改革を進めるのが、リコノミクスであるといえる。「構造改革なくして成長なし」とは小泉純一郎元首相の発言であるが、構造改革が先にありきではない点で、リコノミクスは、「成長なくして構造改革なし」と言い換えることが可能であろう。

2013年4月~6月の実質GDP成長率が7.5%に減速し、景気下振れリスクが懸念される中、国務院(内閣)は2013年7月以降、バラック地域の住宅補修、省エネ環境保護、情報消費(コンテンツ・電子商取引・情報通信ネットワーク端末の消費)、鉄道、大気汚染防止、高齢者向けサービス、都市インフラなどに関する政策を矢継ぎ早に発表している。

これらは、中国政府が景気下振れリスク軽減に配慮しつつ、構造改革に積極的に取り組んでいるとのメッセージを国内外に発することが主目的だと考えられる。短期的にもセンチメント改善による景気浮揚効果が期待できるが、ほとんどの政策は2015年までの第12次5ヵ年計画の再確認か、それを越える長期的な政策であり、短期間に巨額の資金投入を行うことは想定されていない。例えば、2013年の鉄道の投資計画は、当初の6,500億元から6,600億元に引き上げられたが、2012年の実績比では3.0%増から4.6%増への引き上げであり、追加額としては大きな金額ではない。

大和総研は、短期的な景気刺激策強化による固定資産投資の急増→無駄な投資と借金の急増→潜在的な不良債権額の急増、こそが避けるべきリスクシナリオと認識している。この点で、一連の政策が基本的には中長期的なもので、短期的な景気刺激を主眼に置いていないことをむしろプラスに評価している。ある程度の成長率確保を大前提に、経済のディレバレッジと構造改革を進めるという、リコノミクスの基本路線は維持されている。

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経済調査部
主席研究員 齋藤 尚登