サマリー
◆高市早苗政権は税・社会保障の負担と給付の構造につき一体改革を行う方針で、給付付き税額控除をその有力な手段と位置づける。日本では低所得世帯全般の税・社会保障の純負担率が高い一方で、低所得の子育て世帯に対する給付や税の軽減が特に少ない。
◆これらを調整するための給付付き税額控除導入案につき、諸外国の例を参考に4類型15ケースの財政規模を試算し、執行面の課題を検討した。米国では約3割の誤支給が生じており、資産や所得の精緻な捕捉か誤支給の起こりにくい制度設計が課題となる。
◆また日本では、社会保険の被扶養者や年金生活者のいる世帯では純負担率が低く、新たな給付の対象とすることは適当でない。こうした現行制度の制約の下で早急に負担調整を行う場合は、労働所得に係る社会保険料の範囲で給付を行う「社会保険料還付付き税額控除」の導入が有力な選択肢になる。
◆これを第1ステップとした上で、所得や資産を捕捉する枠組みや税・社会保障制度の全体像などについての検討を進め、ニーズを的確に反映した精緻な制度へのアップデートを図るべきだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年7月貿易統計
3カ月連続の貿易赤字 代替調達進む一方、原油輸入価格は高止まり
2026年08月20日
-
2026年6月機械受注
船電除く民需は製造業を中心に増加
2026年08月19日
-
経済指標の要点(7/15~8/18発表統計)
2026年08月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

