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あまりにも少ない、日本企業における女性役員の登用

2013年08月26日

伊藤 正晴

企業における女性の活躍状況を端的に示す指標のひとつが女性役員の登用であろう。女性役員の登用は、企業経営に多様な視点を取り入れることで、企業活動の活性化や成長に寄与することが期待され、政府の成長戦略の要のひとつとされている。しかし、残念ながら現状では、女性役員の登用はまだまだ少ないのが実情である。

2013年7月に、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)から「女性活躍支援・推進等に関する追加調査結果」(※1)が発表された。この調査は、経団連の会員企業における女性役員・管理職の登用状況等の実態を調査したもので、有効回答社数は348社となっている。

調査によると、会社法上の役員(取締役、会計参与、監査役)や執行役員に女性がいる企業は348社中の107社であった。約3割の企業に女性の役員がいるのであるが、残りの約7割の企業では、役員が男性のみで構成されていることになる。また、会社法上の役員と執行役員を合わせた女性役員の総数は179名であるが、企業の経営を直接的に担うであろう社内取締役は32名となっており、企業の経営陣における女性の活躍の場はなかなか広がっていないようである。

海外での状況はどうなっているのであろうか。大和総研レポート「女性取締役を有する企業と株式リターン」(2012年6月5日)(※2)で示した女性取締役を有する企業の比率は、英国が59.4%、欧州ではフランスが83.7%、ドイツが70.2%など水準の違いはあるが、いずれも女性取締役を有する企業が半数を超えている。また、米国も79.3%と高い。アジアは他地域に比べると比率は低いが、中国は51.4%で女性取締役を有する企業が半数を超えている。韓国は比率が11.6%と低いが、日本は6.1%と韓国よりも比率が低い。また、女性取締役比率(全取締役数に占める女性取締役数の比率)でも、日本は0.7%と非常に低い水準にとどまっている。世界的に見て、日本は女性取締役の登用が非常に少ないことがよくわかろう。

企業における女性の活躍を推進するため、結婚や出産・子育てなどに対する社内制度等の整備が進められている。女性役員を増やすには、これらに加え、女性社員のキャリア形成への対応が必要となろう。先に紹介した調査と同時に経団連から発表された「女性活躍支援・推進等に関する調査結果」(※3)で、女性活躍支援・推進のために取り組んでいる内容についてみると、「キャリア支援に関するセミナー、研修等」を行っている企業は55.7%、「女性管理職数・比率を増やす計画的な取り組み」を行っている企業は45.6%となっており、企業内での女性のキャリア形成に関連する取り組みを実施している企業は半数程度にとどまっているようである。キャリアの形成には時間がかかることなどを考えると、女性のキャリア形成を支援する具体的な取り組みは、すぐにでも始める必要があろう。平成15年6月に男女共同参画推進本部(現 内閣府男女共同参画局)が決定した「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標の達成に向けて、さまざまな分野で男女共同参画への取り組みが進められているが、今後、より多くの企業が女性のキャリア形成に関する支援を進め、これが日本経済の成長に繋がることを期待したい。

女性取締役を有する企業と女性取締役の比率
(※1)一般社団法人日本経済団体連合会「女性活躍支援・推進等に関する追加調査結果」(2013年7月29日)
(※2)大和総研レポート「女性取締役を有する企業と株式リターン」(2012年6月5日)
各国の分析対象社数は、日本(938社)、フランス(86社)、ドイツ(57社)、英国(313社)、ノルウェー(25社)、米国(1,020社)、中国(607社)、韓国(189社)となっている。
(※3)一般社団法人日本経済団体連合会「女性活躍支援・推進等に関する調査結果」(2013年7月29日)

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