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店頭デリバティブ市場、各国規制の不整合が過度の負担に?

2013年08月20日

菅谷 幸一

欧米をはじめとする各国店頭デリバティブ規制の域外適用が国際的な問題となっている。各国規制の不整合等により、市場参加者に過度な負担を強いる恐れがあるためだ。今回のコラムではこの問題について簡潔に触れたい。

2008年11月のG20ワシントン・サミット以来、店頭デリバティブ取引に対する規制強化が国際的に推進されている。2009年9月のG20ピッツバーグ・サミットでは、2012年末までに、店頭デリバティブ市場改革を実施することに合意。その中身の柱は、店頭デリバティブ契約の取引所取引、中央清算機関(CCP)での清算(清算集中)、取引情報蓄積機関(TR)への報告である。また、CCPにて清算されない契約(非清算集中取引)に対する規制強化の実施も含まれており、清算集中の促進が企図されている。

このG20の合意を受け、基準設定主体(※1)や金融安定理事会(FSB)(※2)を中心に、国際基準の策定が行われている。また、各国では、清算集中やTR報告等を定めた国内法制の整備が進められている。日本では、2010年及び2012年に金融商品取引法が改正され、また、米国では2010年にドッド・フランク法、欧州では2012年に欧州市場インフラ規制(EMIR)が導入された。

各国での法制化が進む中、規制の整合性や、それぞれの国の規制がどの程度域外適用されるかが論点となっている(いわゆるクロスボーダー問題)。特に、他国の規制内容を同等とみなし、他国規制の遵守を代替的に容認する措置(代替的コンプライアンス措置)がどこまで認められるかが焦点である。店頭デリバティブ契約は、国境を越える取引が多いことから、各国規制の不整合や重複等が調整されない場合、規制のアービトラージ(裁定取引)や規制対象への過大な負担が生じる可能性があるからだ。

この問題は、各国当局間、特に欧米当局それぞれと他国当局との間で議論が進められているほか、G20及びFSBにおいても、問題解決に向けた調整作業が行われている。本年7月19-20日にモスクワにおいて開催されたG20 財務相・中央銀行総裁会合では、主要規制当局に対して、クロスボーダー問題の解決方法を9月のG20サンクトペテルブルク・サミットまでに報告するよう要請された。また、規制当局は、他国規制であっても、その効果が自国規制と同等とみなされる場合は、その国の規制に委ねることに同意している。

この先、各国規制の不整合等を解消するためには、更なる国際協調が求められるだろう。特に、以下の3点について検討することも必要ではないだろうか。

①規制の同等性を評価する国際的に共通した方法を策定すること
②共通のスケジュールにより規制を実施すること
③他国への規制適用においては適切な経過措置・期間を設けること

今後、クロスボーダー問題の解決に向けて、G20及びFSBでの国際的な議論が加速することを期待したい。

(※1)基準設定主体とは、各分野・セクターの基準設定を行う国際組織のこと。店頭デリバティブ市場改革においては、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、証券監督者国際機構(IOSCO)、支払決済システム委員会(CPSS)が主要な役割を担っている。
(※2)FSBは、国際的な金融規制等の策定・実施促進を目的に、各国当局・基準設定主体の作業を国際レベルでコーディネートしている。FSBについては、拙稿「国際金融規制のコーディネーター:FSBの役割」(大和総研レポート、2013年8月2日)を参照されたい。

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