リーダーに求められること

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2013年06月12日

  • 間所 健司

リーダーがリーダーシップを発揮するためには戦略的な行動をとることが重要である。卓越したリーダーの下、チームが戦略的な行動をとるためには、①具体的な目標を定めること、②スタッフが能力を発揮するための環境を最高の状態に置くこと、③迅速で果断な決定を下すこと、などが必要な資質である。ほかにも多くの資質が必要であると言われているが、本稿では以上の3つについて簡潔に考察する。

まず一番目の「目標の設定」であるが、重要な戦略の転換や目標を設定する場合、達成に向けた具体策(プラン)を説明しなければならない。あいまいな目標はスタッフの不安と不満を生むことになる。目標に必要なものは、いつ、どのように目的を達成するかという計画であり、測定可能な定量的目標を定めることである。米国の自己啓発書の作家であるオグ・マンディーノは「達成計画や期限なしの目標を設定することは、目標自体を設定しないにも等しい。」と言っている。

次に、リーダーに必要なのは、チームのスタッフが全力で業務を遂行できるように社内外からのプレッシャーを吸収、あるいははね退ける力を持ち、スタッフが安心して働ける環境をつくることである。鉄鋼王カーネギーは次の言葉を残している。「あらゆるビジネスを左右するのは、そこで働く人間の心構えなのだ。」と。スタッフとしての適材を見つけ、しっかり働ける環境下に置くことがリーダーの役割でもある。

また、リーダーは、意思決定においては、適切でタイムリーな決断を下すことである。完璧な準備ができるものではないし、いつまでも待つことはできない。一方で、衝動的に行動することも得策ではない。リーダーとして、考察と行動のバランスが重要であることは言うまでもない。鉄鋼王カーネギーは決断についても次のように言っている。「必要な条件をすべて与えられながら、即座に決断を下すことのできない人は、いかなる決断も下すことはできない。」と。即断即決が重要な資質でもある。

もはやマネージャーは単なる(中間)管理者ではなく明確にそのチーム(部署)のリーダーと位置づけられる。マネージャーがリーダーへと変貌することで、個々の組織(部署)が、そして会社全体が活性化し、成長していくことが期待できる。GEのCEOであったジャック・ウェルチはリーダーの成功について次のように言っている。「個人としてあなたのすべきことは、チームを育てサポートし、彼らの自信をつけさせること。それ以外は何もない。リーダーの成功はあなたが毎日何をするかではなく、あなたのチームが輝かしい業績を上げるかどうかで決まってくる。」と。リーダーは、自分自身の成長から、スタッフの成長・チームの業績向上へと目的が大きく変わってくるものである。

最後に自戒の意味を含め、ナポレオンの言葉を引用する。

「悪い連隊はない。悪い大佐がいるだけだ。ただちに大佐のクビを切れ。」(「悪い組織というものはない、リーダーが悪いだけである。リーダーを変えろ。」という意味。)

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