アメリカで車に乗って見えたもの
2013年05月22日
筆者の住まいはニューヨーク郊外にあって、通勤は電車を利用しているものの、日常の買い物などでは車を必要としている。アメリカは車社会であり、必須のアイテムであることがしばしば指摘されるが、ある程度は実感できているように思う。
その一つは、ガソリン代の変動である。買い物や通院、治安の問題などを踏まえると、車なくして生活できない以上、高くても給油せざるを得ず、ガソリンスタンドの価格表示を見て、安ければ嬉しいし、高ければがっかりする。知らず知らずのうちに、財布のヒモの固さに影響しているような気がする。おそらく通勤で車を使う家計など、車の利用が多ければ多いほどこうした傾向は強まり、消費者のマインドを左右するのだろう。
ガソリンにかかるコストは、走行距離と同時に、車の燃費次第である。ガソリン価格が上昇しても決まった距離を走らなければならないのであれば、燃費に優れる車を求める背景となるだろう。アメリカのメーカーでも、ハイブリッド車や中型車は比較的良く見かけるが、やはり大型車が多く、柴犬とセント・バーナードが同じ犬であるかと驚く大きさの違いがあるように、同じ自動車とは思えないほど大きな車も走っている。小型車もあるが、全体に日本で言う小型車ほど小さい車は印象に残っていない。
一方、日本のメーカーは歴史的に燃費に優れた小型車を提供してきたことで、アメリカ市場での地位を拡大させた、というイメージがあるが、見ていると必ずしもそれだけではないようだ。日本車のラインナップは幅広く、小型車のみならず、日本で売っていない大型車もあって、ピックアップ・トラックのスポーツモデルが走っていたりする。広範なニーズに応えていると考えられる。日本で中型車に分類されていても、アメリカでは小さな車になってしまうほど、大きい車が多く走っていることに対応しているのだろう。
アメリカでは、そもそもの規格が一般に日本より大きく、服を買う時も日本でMサイズの人はアメリカではSサイズが適当なサイズになる。スーパーで3リットル入りのペットボトルや巨大なお菓子のパッケージを見慣れてくるにつれ、アメリカ人の思い描く小型車とは、日本の中型車くらいなのではないかと思えてくる。
日米の自動車については、TPP交渉における論点の一つになっている。だが、アメリカメーカーの自動車を日常から眺める限りでは、日本の道路や住宅事情に対応し、日本で売れる小型車を作る気があるのか、訝しく思う。ただ、将来のアメリカの人種構成は、ヒスパニック系やアジア系が増えるという予想があることから、マザーマーケットでのアメリカにおける車の需要が変化し、小柄な人に合わせた小型車も増えてくるかもしれない。
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