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新春を迎えて

2013年01月04日

名誉理事 武藤 敏郎

人々が何か行動をしようとするとき、目の前のリスクに二の足を踏むのは不確実さを恐れるからだろう。2012年、不確実さの最大のものとして欧州ソブリン危機の帰趨があった。ギリシャに加えてポルトガル、さらにスペイン、イタリアにも懸念が波及し、不安は危機へと拡大、状況は悪化の一途を辿った。7月以降、各国の財政再建の努力と欧州の支援体制が整うにつれ、危機は小康状態となっているようにうかがえる。国家の財政再建については結果が大事であることは言うまでもないが目指す方向が明確になっているか否かも重要である。

では2013年にはどのようなことが予測されるだろうか。

世界に目を向けると、米国は失業率が高止まりしているが経済は底堅く推移するものと思われる。欧州は最悪期こそ脱したが回復には時間がかかるだろう。アジア、特に中国の成長率が鈍化したが新政治体制下で成長ポテンシャルは高い。

日本では2012年末の解散総選挙によって自・公連立政権が発足した。新年に入ると直ちに補正予算及び2013年度予算編成が行われる。さらに国会の審議状況によっては暫定予算の作成が想定される。また7月には参院選も予定されている。これら一連の政治日程が実体経済に影響を与える可能性も否定できない。一方で2012年8月に成立した税と社会保障関連法案によっていかに持続性ある財政と社会保障制度を確立できるかが最重要課題である。

また安定的な成長戦略も欠かせない。経済成長と財政再建の両立は極めて難しい道だが避けて通ることはできない。既にわが国は超高齢社会に突入しており、さらに高齢者比率は上昇していく。それを前提とした国家像に基づいた社会インフラの再構築が急務である。

そのためにはイノベーションによる労働生産性の向上が必要だ。IT化促進など効率化投資や規制緩和も欠かせない。ただ生産性を向上させても、就業人口の減少は否めない。女性の雇用促進に加え、外国人労働力の活用もより重要さを増すことになる。さらに“元気な高齢者”は新たな経済のけん引役として期待される。

日本の高齢化は、激化する国家間の競争の下ではハンディかもしれない。しかし、医療や介護を中心にした社会インフラの再構築は自国のみならず、輸出さえできる重要な知財となろう。他国に先んじて課題に取り組み、解決していくことができれば、将来に希望が見えてくる。2013年、日本経済の歩みは緩やかかもしれないが、問題解決に向けて着実に前進して明るさを取り戻していくものと期待している。

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