民法改正へ向けた動き
2009年08月04日
普段の生活において、あまり意識することがないと思われるが、売買等の契約や家族関係などに関する基本的なルールを定めているのが、「民法」という法律である。この民法が大きく改正されようとしている。民法がカバーする範囲は広いこともあり、改正の動きは2つ存在している。「債権法の見直し」の動きと、「成年年齢の見直し」の動きである。
民法には「債権」という名の編があり、この部分を一般に「債権法」と呼んでいる。この部分は、契約、例えば、物の売買とか、贈与とか、金銭の貸借とかに関する基本的な事項を定めている。また、債権の譲渡とか、金銭貸借の連帯保証とか、交通事故のなどの損害賠償などについて定める「不法行為」と呼ばれている制度などを定めている。この債権法を改正しようとする動きが存在する。例えば、学者有志によって組織された「民法(債権法)改正検討委員会」が、今年3月31日に、「債権法改正の基本方針」というものをまとめている。この基本方針は、今後の議論のたたき台になると言われている。公式な議論は、秋にでも開催されるだろう法務省の法制審議会やその部会で検討が行われるのではないかといわれている。
また、民法では成年年齢を20歳と規定している。そして未成年については、取引上における保護などの規定を置いている。現在、民法の成年年齢を見直すことが検討されている。具体的には、法務省の法制審議会の民法成年年齢部会で検討が行われている。この民法成年年齢部会は、2008年12月16日に「民法の成年年齢の引下げについての中間報告書」を公表している。ここでは、引き下げるかどうかは明らかにされていなかった。しかしながら、今年7月30日の新聞報道によれば、18歳に引き下げる方向を示した模様である。ただし改正の時期などについては、国会の判断に任せるとしたようである。
このように、民法改正への動きが急速に進みつつあり、具体的な改正案の国会提出も近い将来行われる可能性がある。そうした民法改正の動きの中で、今後も十分な議論が行われ、周知期間の設定や経過措置などの混乱緩和措置などとられることが望まれる。民法が基本的な法律だけに、思いのほかいろいろな点に影響がある可能性があるように思えてならないからである。
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堀内 勇世
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