バラク・オバマ米国大統領の議会初演説
2009年03月06日
2月24日、バラク・オバマ米国大統領が議会で初演説を行った。何しろ『Yes,we can』という言葉をはやらせ、書店にはDVD入りの本を溢れさせただけに、一体どういう話をするのだろうかと世界の注目が集まった。注目点の多い演説だったが、金融業界に身を置く者からすれば、特に印象に残ったのは次の二点だった。第一に、従来ガイトナー財務長官は、説明責任と透明性を何より重視する事を明言していたが、オバマ大統領の意見は今ひとつ明確ではなかった。しかし初演説でオバマ大統領は、彼自身、説明責任と透明性を何よりも重視する事を明確にした。
そして第二には、金融制度改革にいずれ本気で取り組む意向であることを仄めかしたのである。もちろん金融危機はいまだ完全には収束していない。新しい金融規制の体制作りに着手するのは、金融危機対応が一段落した後のことである。ポールソン前財務長官は金融規制改革を見越して作業を開始したが、結局金融危機対策に追われ、新しい制度作りには踏み込めなかった。オバマ大統領、ガイトナー財務長官のコンビは、任期中に新しい金融規制を構築する事になる可能性が十分にある。1930年代、40年代に作られた、現今の金融制度を、オバマ大統領が『時代遅れ』と呼ぶなど、その点ではポールソン前財務長官とも十分に共通点がある。新コンビがどのように金融制度を作っていくのか、興味深く見守っていく必要があろう。
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