サマリー
◆企業年金は公的年金を補完し従業員の老後を支える重要な資産である。だが、特に中小企業では、企業年金制度の導入割合は中長期的に低下し続けており、従業員の多くが老後資産形成に不安を抱えている。中小企業に企業年金制度のアクセス機会を広げることは、格差是正と人的資本経営の観点からも極めて重要である。
◆政府は、これまで中小企業向け制度の整備を着実に進めてきた。ところが、実際にはそうした情報が必要な企業に十分浸透しておらず、制度整備と企業の利用実態との間には大きなギャップが生じている。勤労者全体に向けた資産形成機会の拡大は、日本全体の資産形成力を底上げする基盤整備である。情報提供の強化や政府による税制支援、金融経済教育の充実など、重点的な取り組みが不可欠だ。
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