独占禁止法改正の動き

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2007年11月05日

2005年の改正時に施行(2006年1月)後2年以内の見直しがうたわれていたこともあり、今年に入ってから、独占禁止法の改正に関する動きが激しくなってきている。

内閣官房長官の懇談会である「独占禁止法基本問題懇談会」から、今年6月26日、「独占禁止法基本問題懇談会報告書」が公表された。また、公取委(公正取引委員会)からは、7月12日に「独占禁止法・景品表示法における団体訴訟制度の在り方について」が、そして、10月16日には「独占禁止法の改正等の基本的考え方」が公表された。

最後の「独占禁止法の改正等の基本的考え方」は、来年の通常国会に改正法案を提出することを目指す公取委が、現段階で考えている改正の方向を示したものである。(1)新規参入排除行為・公正な競争秩序に悪影響を与える行為等(排除型私的独占、不当表示、優越的地位の濫用)に対する課徴金を新設する、(2)課徴金納付命令等に係る除斥期間(犯罪行為後、命令等の処分を行える最終期限)を現在の3年から5年に変更する、(3)カルテル・入札談合等において主導的役割を果たした事業者に対して、課徴金を加算する、(4)課徴金減免制度でグループ企業による共同申請を可能とする、(5)公正さ及び透明性の確保を図りつつ、審判手続を維持する、(6)会社等の株式取得につき、合併等の他の企業結合と同様に事前届出制度とする、ことなどが掲げられていた。

しかしながら、その後の改正内容の検討において、これ以外のことも検討されているようである。例えば、公取委からの正式発表ではないが、10月31日の日経新聞朝刊の記事によれば、「合併や株式取得の際に公取委への届出を義務付ける範囲を拡大」することなどが検討されているようである。

このような改正は、社会経済の変化に対応しようとして行われるものであり、好ましいものといえよう。ただし、制度改正は法改正だけで終わるものではなく、改正後の運用による部分も大きい。制度が形骸化しないように、また制度が経済活動を阻害しないように、運用面での対応にも十分な配慮が望まれる。

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