Pの次はR?-Web2.0時代のスクリプト言語

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2006年11月21日

  • 宮久地 博臣
LAMPという言葉をご存知の方も多いと思う。オープンソースでWebシステムを構成しようとしたときの主要なコンポーネントの頭文字をとったものである。

LはOSのLinux。
AはWebサーバのApache。
MはデータベースのMySQL。
PはWebアプリケーションがPerl、PHP、PythonといったPで始まるスクリプト言語で作成されていることを表している。

LAMPで構成された有名なサイトを例に挙げると、「はてな」や「ミクシィ」、「Yahoo!Japan」などがある。はてな、ミクシィの場合のPはPerl、Yahoo!の場合はPHPである。ほかにもLAMPで構成されたサイトは、数えきれないぐらいに存在する。

ところがここに来て、Web系システム開発でにわかに注目を集め始めたスクリプト言語がある。Rubyである。

Rubyは、まつもとゆきひろ氏の作によるオブジェクト指向スクリプト言語である。1995年に発表され、一部開発者の間で根強い支持を受けていた。そのRubyが、ここに来て急に注目を集め始めたのには理由がある。

デンマークコペンハーゲン在住David Heinemeier Hansson氏の開発によるRuby onRailsというRubyを使った開発フレームワークが登場したためである。Ruby onRails(RoRなどと表記されることもある)は、その生産性の高さから、発表されるやたちまち世界的な話題となった。

Ruby onRailsでは、これまでLAMPにおける『P』が得意としていた迅速なWebアプリケーション開発とJavaなどで使われていた開発フレームワークによるメンテナンス性の高さの両立を実現している。1つの例として、公式サイト(http://www.rubyonrails.org/)では、3分クッキングならぬ、15分でブログシステムを作成するというムービーが公開されている。

作者のDavid Heinemeier Hansson氏が、Google-O'Reilly主催の会議「Open SourceConvention(OSCON) 2005」のオープンソース・アワードでベストハッカーに選ばれるなど、Ruby onRailsの評価は日増しに高まる一方である。

そのうちPではなくRのほうが当たり前になり、LAMRなどと表記されるようになるかもしれない。

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