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特定施設の総量規制について思うこと

2006年08月28日

竹内 慈実

介護付有料老人ホームをはじめとした特定施設(※1)は、住宅、建設会社など異業種の参入もあり、急増している。2000年7月末では271カ所だった特定施設は2006年7月末には1,894カ所まで増えた(厚生労働省調べ)。施設数の増加に伴い、入居一時金が数千万円の高級施設や入居一時金不要の施設など、多様な施設が開設され、利用者の選択肢が拡大した。しかし、2006年4月1日の改正介護保険法の施行により、特定施設の総量規制(※2)が始まった。これにより、各地方自治体は、特定施設の新規開設について制限できるようになった。

特定施設は、公共性の高い施設である。そのために施設運営の安全性・安定性・継続性が求められる。施設数を全く規制せずに増加させてしまうと、入居者が集まらず、経営が悪化し、存続できなくなる施設が急増する恐れがあり、社会的な問題にまで発展する可能性がある。このため、各地方自治体がある程度その数を管理することは必要である。また、介護保険料の値上げにも限界がある。財政上の問題から、これ以上特定施設の増加による介護報酬の負担を増やしたくないという国や地方自治体の考えもわからなくもない。だが、特定施設(特に軽費型施設)の需要は、人口の高齢化に伴い、ますます増大することが見込まれる。介護報酬の負担を増やしたくないという財政上の理由だけで、本来必要な施設の開設を制限することだけはやめてもらいたいものである。

(※1)特定施設は、介護付き有料老人ホーム、ケアハウスなど、都道府県から指定を受けて介護サービスを提供する施設のことである。介護が必要になった場合、訪問介護などを利用する住宅型有料老人ホームおよび、介護が必要になった場合、契約を解除し、退去する健康型有料老人ホームは、特定施設には含まれない。

(※2)総量規制は、都道府県が策定する介護保険事業支援計画にもとづき、施設の指定を拒否するなどして地域内の総施設数を制限すること。これまで、特別養護老人ホーム、老人保健施設および介護療養型医療施設は都道府県により利用者数や施設の指定が制限されていたが、特定施設は規制の対象外だった。

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