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本格普及を迎える無線ICタグ

2006年08月15日

永田 貴士

注目は流通・物流への活用
無線ICタグ(以下、ICタグ)とは、電波を利用し、非接触で「モノ」の個別認識、情報の読み取り、書き込みができるRFID(※1)の一つである。これを利用して、リアルタイムでの「モノ」の現在地情報、商品が今まで通ってきた流通経路、製造年月日などの属性情報を把握することができる。すでに海外では、米ウォルマートや米アルバートソン、独メトログループなどの大手サプライチェーンを中心に流通・物流でのICタグ利用が進んでいる。彼らは、在庫管理の効率化やCRMへの活用、盗難リスクの低減、などにおいてICタグ利用の効用を見いだしている。

国内では、2005年4月に総務省がICタグ向けにUHF帯(※2)の周波数割り当てを行った。これにより、今まで数㎝~数十㎝であった交信距離が数mへ広がり、遅れていた国内流通・物流でのICタグ利用が進むのではないかと市場の衆目を集めている。しかしながら、現時点ではまだ、同分野におけるICタグ利用が進んでいない。普及を阻害している要因の一つは、業界の垣根を越えて利用できるコードや通信プロトコルなどの標準化規格がなかったことにある。今まで国内においては、EPCglobal JapanとユビキタスIDセンターによる2つの規格が混在していたが、03年5月に経済産業省が国際標準規格を目指したコード体系統一化案を策定、ISOに提案した。06年3月の国際会議(京都)で最終規格案(ISO/IEC15459-4)が確定し、国際標準として承認される運びとなった。これにより、国内標準化動向にも一定の方向性が示され、ICタグの普及が進む可能性が高まってきている。

普及のカギを握るのは「導入コストの低下」
今後、市場拡大に向けて予想される展開としては、大きく3つの過程に分けることができる。第一段階は、課題克服段階である。課題としては、1)導入コストの低下、2)通信精度やセキュリティー面での改善、3)けん引役となる企業の出現、などがある。経済産業省による「響タグ(※3)」の完成や実証実験による費用対効果の明示によって、前述の課題も徐々に払しょくされ、導入企業が増加してこよう。第二段階は、普及段階である。ICタグを導入した企業における導入効果や、ICタグの有用性、が明らかになることで、導入を控えていた企業への普及が進むと考えられる。第三段階は、新サービス創出段階である。導入企業数の広がりとともに、ICタグの新しい活用方法が模索されよう。ICタグは、ネットワークとの親和性、リアルタイム性、自動データ取得機能といった特徴を有しており、商品検索サービスや、RFID連動広告サービス、電子決済、ゲームなどへの活用も期待される。

(※1)RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略。ICタグ以外にも非接触型IDカードや、自動車のスタビライザーなどにも利用されている。
(※2)UHF帯ICタグ向けに割り当てられた周波数帯は952MHz~954MHz。周波数特性から他の周波数よりも通信距離を長くできる。
(※3)経済産業省の「響プロジェクト」において開発が進められている“タグ価格5円”を目標としたICタグ。

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