上場会社は、株主・投資家向けの開示・説明等に一層の努力を!
2006年07月20日
上場会社の多くが6月に定時株主総会を開催する。その定時株主総会が集中する6月が終わった。今年の総会でも、会社提案議案が否決された事例や、会社が提案を撤回した事例などが見受けられた。これは、機関投資家などの株主による議決権行使が近年活発化していることを象徴するできごとであったといえる。また、見方を変えれば、上場会社は、株主もしくは未来の株主である投資家に対して、十分な開示や説明を行うとともに、対話を行っていくように一層努力しなければないということをも示す出来事であったともいえる。
もっとも、会社による株主や投資家に対する開示・説明や対話の重要性は、もはやいうまでもないことであろう。現在、その表れは色々なところで見ることができる。例えば次のような点でも見て取れる。
第一に、近年の法改正において、株主や投資家に対する開示・説明などにかかわる改正が行われている。例えば、会社法では、制度の柔軟性を図る一方で、株主に対する開示の充実のため、事業報告(かつての営業報告書に相当するもの)の項目を増強している。また金融商品取引法でも、上場会社等の開示の強化が図られている。現在証券取引所の自主ルールによって行われている四半期開示を、法律上の制度として規定して強化するなどの改正が行われている。
第二に、現在、株主や投資家も十分な開示・説明や対話を望んでいる。例えば、有力な機関投資家である企業年金連合会が公表している議決権行使の基準では、原則反対としていても、十分な開示・説明や対話を行っていれば反対しない場合があるしている部分もある。これは、十分な開示・説明や対話を望んでいる証ともいえよう。
このような状況を踏まえ、上場会社は、株主・投資家に対して、十分な開示や説明を行うとともに、対話を行っていくように一層努力していかなければならない。具体的には、法定開示の着実な実行や、IR活動・適時開示の充実などと言うことになろう。
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堀内 勇世
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