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奇妙なバブルの定義

2006年04月03日

原田 泰

公示地価が3月23日に発表されて、東京都心の商業地の一部で地価が高騰していることが明らかになった。地価が上がっているからバブルだと一部のエコノミストは考えているようだが、これは奇妙なバブルの定義である。バブルとは、その資産のもたらす本来の収益ではとうてい説明の付かない価格がついてしまうことである。ただ上がることをバブルとは言わない。

バブル価格が付くと何が困るのか。株でそのような価格がついても、いやなら買わなくてもいいのだから何も困らないと主張することは可能である。住宅地であれば、人々が住まなければならないところに、そんな価格がついては困ると考えたほうが正しいだろう。では、商業地はどうか。

プロ同士の取引で、商業地に誤って高い価格がついても、買ったプロが損して売ったプロが得するだけだ。商業地に誤って高い価格がついても、それに見合うテナント料が入らなければ、買ったプロが損するだけだ。テナントが入らなければ、テナント料は自然と下がり、最後にはテナントが埋まる。高い土地の価格に見合うテナント料が入るのなら、買った価格はバブル価格ではなかったということになる。

誤って高い価格で買ったプロが借金を返せなかったら、資金を提供した銀行は困るだろう。資金不足でビルの建設途中で支払いがストップすれば、建設会社は困るだろう。しかし、銀行も建設会社もプロである。返せるか、払えるかを見極めるのがプロである。プロが、返せる、払えると見込みをつけて始めたことに、第3者が口を差し挟む必要はない。

バブルだから金融の引締めが必要だというエコノミストもいる。確かに、80年代末のバブルでは、プロの損失を税金で救った。だから、バブルは早めに潰したほうが良いという。しかし、だからバブルであるかどうか分からないものを早めに潰さないといけないと主張するのは本末転倒である。必要なのは、プロがどんな損失を出そうが救わないと、まず宣言することではないか。

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