2006年年頭の資本市場活性化策
2006年01月12日
大 和総研資本市場調査本部では、2006年年頭に当たって当面の資本市場活性化策を次の五つに設定している。
「貯蓄から投資へ」の標語が、すっかり普及した今も、証券界はキャピタルゲイン税率が預貯金税率よりも低かったころの要望である、「金融課税の一体化」を 引き続き要望している。しかし、個人の資金を株式市場に取り込み、老後の資産形成と産業界の資金調達ニーズを共に満たした90年代米国を見ても、キャピタ ルゲイン税は一貫して優遇税制であり続けたのである。現在、幸いわが国ではキャピタルゲイン税は優遇税制になっている。とりあえずこれを維持していくのが 進むべき道だろう。 日本版401kも本格的に規模を拡大する必要がある。少子高齢化で公的年金を従来通りに維持することは不可能になっている。他方でわが国は国民一人当たり の金融資産中、株式の占める比率は依然低い。二つの問題を同時に解決する方法が日本版401kの拡大強化である。90年代米国の繁栄を生んだ理想的な循環 をこの日本に再現しよう。 第三に、ジェイコム株誤発注以来相次いだ事件によって顕在化した、銘柄ごとに区々な取引単位、分割の頻発などにより何がなんだか分からなくなっている状況 を是非、解消したい。現在、東京証券取引所で取引する株式の基本単位は1株、10株、50株、100株、500株、1000株、3000株と区々で、一般 投資家の株式市場・株式投資を困難にしている。そこでこの統一を義務付けることとする。最も統一後の株価が高すぎても低過ぎても不便なので、この場合は株 価が一定の範囲におさまるように分割もしくは併合を義務付ける。 (4),(5)は省略するが、個人の金融資産に占める株式の比率は米国では16.2%、これに比べわが国は未だに6.6%にとどまっている。ほかに出資を 含めたエクイティ資金の比率は米国では17.6%もあるのだから、出資の少ないわが国の場合、10年以内に株式のみで15%ぐらいを目標に達成していけな いものだろうか。 |
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