自己株式の処分と来年の商法改正
2004年10月21日
しかしながら、来年、平成17年の商法改正(会社法制定)では、自己株式を市場取売却を一定の範囲で認める方向となっているようである。現段階では、その内容は公表されていないが、大まかには次のようなことが考えられているようである。
(1) 定款で、自己株式を市場売却ができると規定していること
(2) 市場売却の限度は、以下のイ、ロの場合に取得した株数に限られること
イ 単元未満株式の買取請求、合併の際の反対株主買取請求などにより取得した場合
ロ 合併などにより、消滅会社などが有する自社の株式(存続会社などの株式)を取得した場合
(3) 営業報告書で開示すること
つまり、簡単に言ってしまえば、会社が法律に基づき義務的に取得したような自己株式についてだけ、市場売却の途を開くにすぎないのである。また見方を変えて言えば、会社が自発的に市場から買い入れた自己株式については、現在と同じく、市場売却はできないままであるということである。
それゆえに、現在、自己株式を多量に保有している会社や、これから自己株式を取得しようとする会社においては、来年の商法改正により、会社が自発的に市場から買い入れた自己株式を市場売却はできるようになるなどと勘違いしないように気をつけていただきたい。また、例外的に保有する自己株式を市場売却できる場合も、インサイダー取引の問題などがあることは肝に銘じておいてほしい。
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