イギリスに感じた「観光立国日本」の強みと課題

2015年11月10日

  • エコノミック・インテリジェンス・チーム エコノミスト 久後 翔太郎

前回のコラム(※1)ではイングランドプレミアリーグにおける日本企業の台頭を論じたが、先日、念願かなってイギリスを訪問する機会を得た。そこで、今回のコラムでは筆者がイギリス訪問で感じた「観光立国日本」を実現するための日本の強みと弱みについて整理しよう。

2015年の訪日外国人数は9月までに1400万人を突破しており、過去最高を記録した2014年通年の人数をすでに上回っている。このような動きに支えられる形で、7-9月期のGDPでも不調の財輸出とは対照的に、サービス輸出(※2)は大幅な増加を記録した公算だ。しかし、世界に目を向けると2014年の日本の外国人訪問者数は世界で22位(アジアで7位)となっており、外国人旅行者の一層の獲得余地があるように思われる。

イギリスを訪問して感じた日本との大きな違いは、クレジットカードの利便性だ。イギリスに滞在している間、ほとんどすべての決済をカードでスムーズに行うことができ、非常に便利であると感じた。日本でも多くの決済でクレジットカードを利用できるものの、基本的にはキャッシュを前提とした取引形態となっており、クレジットカードでの決済には時間がかかる。このような取引慣行を変えれば、外国人旅行者にとって一層便利な社会となるだろう。

一方、日本の利点としては全国に張り巡らされた鉄道網とそのシステムの正確さが挙げられるだろう。ロンドンからマンチェスターに移動した際、日本と比較したイギリスの鉄道システムの完成度の不十分さを目の当たりにした。イギリスの高速鉄道の速度は、体感として「新幹線」よりも「新快速」に近く、日本の新幹線の素晴らしさを実感した。さらに、その運行システムをとっても、イギリスでは鉄道が出発する直前まで列車が到着するホームが発表されず、多くの人がロビーで掲示板を眺めて混雑しているという状況であった。出発の数時間前から列車の到着するホームが決まっている新幹線とは雲泥の差である。また、イギリスでは運行休止も多いようであり、国内を移動する旅行者にとっては大きな問題であるといえる。このような心配とはほとんど無縁の日本で育った筆者にとっては大きな驚きであり、日本の鉄道システムの素晴らしさを認識できる良い機会であった。同時に、外国人が日本国内で旅行を行う際の計画の立てやすさは観光立国を目指す上での大きな強みとなるように感じた。

(※1)「開幕を迎えたプレミアリーグに感じる日本企業の復活
(※2)外国人による日本国内での消費は「個人消費」ではなく「サービス輸出」に計上される。

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