父親が育児休業を取ると世帯手取り収入が増える?

2010年7月13日

ここのところ、育児を楽しむ男性、「イクメン」のブームが広がりつつある。父親の育児休業取得率は1.23%(※1)と未だ低調だが、6月30日の改正育児・介護休業法施行を機に、父親の育児参加が広まることが期待されている。

父親が育児休業を取ることに対しては、収入減による生活費の不安があるかもしれない。しかし、育児休業中は育児休業給付金(月給の50%)が支給されたり、社会保険料が免除されたりするなどの措置がある。また、父親が育児休業を取ればその分母親が早期に職場復帰することができ、母親の収入によっても生活費を確保できる。

これらを総合して具体的に計算してみると、父親が育児休業を取っても収入が大幅に減ることはないといえ、また、場合によっては世帯の手取り収入が増加する場合すらあることがわかる。

下の表は、夫婦共働きの世帯で、母親の収入を父親の収入の3分の2として(※2)、子どもが生まれた際に、母親のみが育児休業を1年間取った場合と、母親と父親がそれぞれ6ヶ月ずつ育児休業を取った場合の世帯の手取り収入を比較したものである。

夫婦で育児休業を分け合うと、母親のみが育児休業を取る場合よりも世帯手取り収入は減少するが、その減収幅は年間の手取り収入の4~8%ほどで、大幅な減少とはならず、直ちに生活に困る程ではないだろう。

育児休業を分け合う効果

夫婦の年収が同程度であるならば、夫婦で育児休業を分け合うと、母親のみが育児休業を取る場合よりも、下表のように、世帯手取り収入は増加する。

育児休業を分け合う効果

 これは、日本の所得税や住民税の仕組み上、世帯の税込み年収が同じであるならば、夫婦の一方のみに収入があるよりも、両方に収入が分かれていた方が税額が少なくなるためである(※3)。この効果は年収が高くなり所得税の適用税率が高くなるほど大きくなる。

例えば、夫婦ともに(育児休業取得前の)年収1,000万円の夫婦ならば、育児休業を夫婦で分けて取得することにより年間で52万円も税額が少なくなる。高収入のキャリア夫婦ならば、父親が育児休業を取る経済的メリットが非常に大きいといえるだろう。

(※1)厚生労働省「平成20年度雇用均等基本調査」より

(※2)厚生労働省「平成21年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」によると、一般労働者(短時間労働者を除く)の月当たり所定時間内賃金の平均値は、概ね男性3:女性2の比率となっている。

(※3)これは、日本が個人単位で所得税を計算しているためである(同じ方式を採用している国は、他にイギリス、韓国などがある)。アメリカやドイツなど夫婦合算で所得税を計算できる国では、夫婦の合計年収が同じであれば原則として税額は同じになる。

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[2010.05.25] 父親の育児休業と経済的負担

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