サマリー
◆2013年1月24日、自由民主党・公明党は「平成25年度税制改正大綱」(以下、大綱)を公表した。
◆相続税については、2015年より相続税の基礎控除を4割縮小し、最高税率を50%から55%に引き上げるなどの課税強化を行うものとしている。一方、小規模宅地等の特例の適用については「居住用」の限度面積を拡大し、「居住用」と「事業用」の完全併用を可能とするなどの緩和策も盛り込まれている。
◆贈与税については、2015年より相続税と合わせて最高税率を50%から55%に引き上げる一方、子や孫への贈与については低い税率区分を適用したり、相続時精算課税を孫にも適用できるようにするなどの緩和策も行われている。さらに、2013年4月から2015年12月までの時限措置として、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(最大1,500万円)を創設するとしている。
◆大綱に示された相続税の課税強化は、民主党政権からの方針を概ね引き継ぐものである。しかし、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置や小規模宅地等の特例の拡大など、民主党政権時代には政府案とならなかった課税緩和策も盛り込まれている。
◆全体的に相続税が課税強化される中で、今後は、死亡保険金の非課税枠や小規模宅地等の特例の活用、もしくは教育資金の一括贈与などの生前贈与の活用などにより、相続税負担を抑える動きが増えてくるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討 <訂正版>
暦年課税、相続時精算課税、教育資金の一括贈与など
2013年05月23日
-
教育資金の一括贈与非課税措置の解説2
法令・告示等に基づいた解説と、活用法・政策効果の考察
2013年04月17日
-
教育資金の一括贈与非課税措置の解説
法案により明らかになった内容と、活用法・政策効果の考察
2013年03月19日
-
2013年度税制改正大綱(住宅取得税制)
消費税増税と住宅ローン減税拡充の影響分析
2013年02月25日
-
教育資金の贈与非課税、4月1日から?
改正税法、年度内成立へ
2013年02月25日
-
2013年度税制改正大綱(法人課税2)
中小企業関連—交際費等の損金不算入制度の改正など
2013年02月07日
-
2013年度税制改正大綱(法人課税1)
生産等設備投資促進税制・所得拡大促進税制の創設
2013年01月30日
-
平成25年度税制改正大綱(証券・金融関連)
速報版 日本版ISA 拡充、教育資金贈与非課税、公社債税制抜本改革
2013年01月25日
-
2013年度改正の住宅ローン減税の分析(速報)
年収別の最大税負担軽減額の試算
2013年01月25日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日