サマリー
◆2013年3月1日、政府は「所得税法等の一部を改正する法律案」(以下、法案)を国会に提出した。法案により、平成25(2013)年度税制改正で創設するとされている教育資金の一括贈与非課税措置のスキームがより明確になった。
◆法案では、非課税となる贈与の方法を、①信託会社への信託のほか、②銀行等への預貯金の預入、③証券会社等での有価証券の購入の3つとしている。
◆法案では、口座からの教育資金の払い出し方法としては、教育資金の支払を行った後に相当額の金銭を口座から引き出す方法と、口座から金銭を引き出した後に教育資金の支払を行う方法の2つが定められている。非課税の扱いを受けるには、それぞれの方法ごとに定められた期限内に、金融機関に領収書等を提出する必要があるとしている。
◆「教育資金」の範囲はいまだ明確化されていない部分もあるが、幼稚園から大学まで私立学校に通うとすると、概ね上限の1,500万円を使い切るものと考えられる。
◆法律上は教育資金の一括贈与は、教育を受ける子どもへの贈与であるが、(贈与がなかったとしたら)その子どもを育てる親が払う予定であった教育費の負担を軽減する側面もあり、実質的には「子どもを育てる親」への贈与とも言える。子どもを育てる親の世代にとっての教育費の負担が軽減されれば、その分だけ他の費用を支出する余裕が生まれ、教育費以外についても消費が拡大する効果が考えられる。
◆平成25(2013)年度税制改正では、相続税の基礎控除の引き下げなどの相続税の課税強化も行われるとされており、生前贈与を行わなければ相続税額が増えるが、生前贈与を行えばその影響を緩和することができるという構図になっている。
◆なお、教育資金の一括贈与の非課税措置を設けても、親にも祖父母にも教育資金を出せるだけの所得や資産のない家庭の子どもにとっては、何も状況は変わらない。家庭の状況にかかわらず、能力に応じて子ども本人の望む教育を受けられるようにするための施策は依然として必要とされるものと言える。
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