サマリー
◆2013年1月24日、自由民主党・公明党は「平成25年度税制改正大綱」(以下、大綱)を公表した。本稿では大綱のうち住宅取得税制について解説する。
◆大綱では、消費税率の引き上げに合わせて、住宅ローン減税の延長・拡充や、自己資金で認定住宅を取得した場合や省エネ改修・バリアフリー改修・耐震改修を行った場合の投資型減税などを延長・拡充するとしている。
◆本稿では、大綱に記載された通りの改正が実現することを前提として、現行と新制度の住宅ローン減税による税負担軽減額の試算を行った。また、消費税率引き上げによる負担増の額との比較分析も行った。
◆その結果、平成26(2014)年4月の消費税率8%への引き上げ前の住宅取得が有利なケースと、消費税率8%への引き上げ後の住宅取得が有利なケースの両方があることがわかった。両方のケースがあることにより、消費税率8%への引き上げ前後の駆け込み需要および反動減がある程度緩和されることが期待される。
◆一方、大綱には平成27(2015)年10月に消費税率が10%に引き上げられる際の住宅ローン減税の拡充は盛り込まれていない。このままのスキームでは、消費税率が10%に引き上げられる際に駆け込み需要と反動減が生じることが懸念される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
公社債税制の抜本改正(個人投資家編)
-
教育資金の一括贈与非課税措置の解説2
法令・告示等に基づいた解説と、活用法・政策効果の考察
2013年04月17日
-
教育資金の一括贈与非課税措置の解説
法案により明らかになった内容と、活用法・政策効果の考察
2013年03月19日
-
平成25年度税制改正大綱(証券・金融関連)
速報版 日本版ISA 拡充、教育資金贈与非課税、公社債税制抜本改革
2013年01月25日
-
2013年度税制改正大綱(相続・贈与・所得)
相続税・贈与税の改正概要、最高税率の引き上げを解説
2013年01月25日
-
2013年度税制改正大綱(法人課税2)
中小企業関連—交際費等の損金不算入制度の改正など
2013年02月07日
-
2013年度税制改正大綱(法人課税1)
生産等設備投資促進税制・所得拡大促進税制の創設
2013年01月30日
-
2013年度改正の住宅ローン減税の分析(速報)
年収別の最大税負担軽減額の試算
2013年01月25日
同じカテゴリの最新レポート
-
若年層の実質可処分所得の超長期推計
20~34歳未婚男女につき、1980~2024年の45年間を推計
2025年10月20日
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
最新のレポート・コラム
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
純債務って何?高市総理が目指す財政指標の意味
2025年10月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

