サマリー
◆自由民主党・日本維新の会が決定した「令和8年度税制改正大綱」では、暗号資産取引に係る課税の見直しが示された。上場株式等と同等の税制とすることで、多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する狙いがある。
◆現状、暗号資産取引で生じた利益は雑所得に区分され、超過累進税率が適用される。改正案が実現すると、「特定暗号資産」の現物・投資信託・デリバティブの取引で生じた利益には、20%(復興特別所得税等を除く所得税15%、住民税5%)の申告分離課税が適用されることになる。施行時期は2028年が予想される。
◆申告分離課税が適用される上記の取引には、生じた損失について3年間の繰越控除や損益通算が認められる。ただ、繰越控除や損益通算できる範囲はそれぞれ異なるため注意が必要だ。「特定暗号資産」の現物取引による損益は、他の金融商品とは損益通算できず、あくまで「特定暗号資産」の現物取引に限って損益通算が可能となる見込みである。
◆資産課税上の懸念も一部解消すると考えられる。取得時より著しく値上がりした暗号資産を相続して売却すると、相続税率と所得税・住民税率を合計して100%を超えるケースが生じ得る点が指摘されていた。この問題は、所得税が申告分離課税となると生じなくなる。暗号資産に係る相続評価についても、金融商品取引法等の改正を機に改められる可能性もあり、今後の通達改正の動向を注視する必要がある。
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