2013年度改正の住宅ローン減税の分析(速報)

年収別の最大税負担軽減額の試算

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2013年01月25日

サマリー

◆2013年1月24日、自由民主党・公明党は「平成25年度税制改正大綱」(以下、大綱)を公表した。本稿では、大綱に記載された住宅ローン減税の新制度の分析を行う。


◆住宅ローン減税の新制度は、消費税率8%への引き上げ後の2014年4月から適用され、一般住宅の場合、対象となる住宅ローン残高が2,000万円から4,000万円に拡充するとされている。1年あたりの最大税負担軽減額は20万円から40万円(10年間の累計で200万円から400万円)に拡充するとされている。所得税から控除し切れない場合の住民税の最大控除額は、新制度では1年あたり13.65万円(現行は9.75万円)に拡充するとされている。住民税からも控除し切れないケースについては、現時点では定まっていないが、大綱では「適切な給付措置を講じ」るとしている。


◆これらの記載内容をもとに年収別の最大税負担軽減額の試算を行ったところ、主に世帯年収600万円以上の世帯では、給付による対応を考慮しなくても、新制度で税負担軽減額が拡充されることがわかった。世帯年収500万円以下の世帯では、給付による対応の設計次第で、新制度による恩恵が変わってくるものと言える。


◆大綱の通りの住宅ローン減税の改正が実現すれば、2014年4月の消費税率8%への引き上げ時の負担増は概ね緩和され、駆け込み需要・反動減を抑制する効果がありそうだ。もっとも、2015年10月の消費税率10%への引き上げ時の負担緩和は盛り込まれておらず、このままの制度設計では消費税率10%への引き上げを前に駆け込み需要と反動減が発生することが懸念される。

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