理系進路選択に対する男女差の要因分析

女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要

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2026年02月06日

サマリー

◆男女の所得格差を生み出す背景の一つに、女性の理系人材の少なさがある。日本では大学における女性のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野進学率が低く、それより前の高校の文理選択でも性差が顕著に表れる。これには理数系の能力差よりも、心理的要因やジェンダーバイアスが影響している可能性が高く、海外研究では女性の自己効力感の低さや競争回避傾向が女性の理系選択を阻害することが指摘されている。

◆本稿では、日本の高校生約4,600人を対象とした意識調査の個票データを用い、ロジットモデルとOLS推計によって理系進路選択と理系科目への興味・関心の決定要因を定量的に分析した。決定要因を「個人」「家庭」「環境」の3つに整理した上で、特に母親の学歴やジェンダー意識、友人・親の影響など独自性の高い変数も含めて検証した。

◆分析結果から、男女共通で「理系科目が好き」「理系タイプという自認」が理系への進路選択にプラスに作用しており、特に女性では母親がSTEM卒であることがプラス要因となった。一方、女性の理系への進路選択に性別役割分業意識がマイナスに働いていた。理系科目への興味・関心は成績自認、幼少期の理系経験などと密接に関連していた。

◆女性が理系を選ぶか否かは単なる学力差では説明できず、心理的要因や社会的要因が複雑に絡み合っている。女性のSTEM分野への進学率向上には、幼少期からの理系体験の充実、ジェンダー規範の是正、家庭や社会でのロールモデル提示が重要だと考えられる。

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