サマリー
◆2024年7月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は前月比▲1.7%と2カ月ぶりに減少した。複数の需要側統計を用いて補正した世帯消費動向指数(CTIミクロ)で見た実質消費は同▲1.0%と減少した。供給側統計である商業動態統計では、CPIの財指数で実質化した小売販売額は同▲0.3%だった。酷暑により外出を控える動きが広がったことも影響し、7月の個人消費は前月から減少したと判断される。
◆8月の個人消費は台風等の影響もあり7月に続き小幅に減少したとみられる。9月以降の個人消費は、家計の所得環境の改善などを受けて持ち直すだろう。さらに、為替レートが大きく円高方向に修正されたことで先行きの輸入物価の上昇が抑制され、中間投入コストの増加ペースは徐々に鈍化していく見込みだ。また、追加のエネルギー高対策の実施は物価の上昇を一定程度抑制する。ただし、物価の上振れリスクには引き続き注意が必要だ。企業による価格転嫁が過度に進展し物価が上振れすれば、実質賃金が低下し、個人消費の回復を妨げる可能性がある。
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