サマリー
◆2024年4月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は前月比▲1.2%、複数の需要側統計を用いて補正した世帯消費動向指数(CTIミクロ)で見た実質消費は同▲0.5%といずれも減少した。他方、供給側統計である商業動態統計では、CPIの財指数で実質化した小売販売額は同+0.6%だった。需要側統計と供給側統計を合わせて補正したCTIマクロは同+0.1%だった。天候要因により衣料品などの消費額は増加したが、それを除けば、4月の個人消費は引き続き停滞感の見られる内容であった。
◆5月の個人消費は4月から小幅に増加したとみられる。6月以降は緩やかながらも徐々に持ち直しのテンポが強まるとみている。24年春闘では前年以上に高い賃上げ率の実現が見込まれており、家計の所得環境の改善が個人消費の回復を後押しするだろう。ただし、物価動向には引き続き注意が必要だ。企業による価格転嫁が過度に進展し物価が上振れすれば、実質賃金の上昇が遅れ、個人消費の回復が遅れる可能性がある。
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