サマリー
◆中国の不動産不況が泥沼化している。2026年4月末には、最大手デベロッパー・保利発展の信託商品が2度目の償還延期を発表した。元々は人民解放軍を母体のひとつとしていた同社ですら資金繰り難に直面するほど事態は深刻だ。住宅購入者はどのデベロッパーの物件なら安心して購入できるのか、分からない状況に陥ってしまっている。
◆2026年5月の小売売上は3年5カ月ぶりに前年割れとなり、1月~5月の固定資産投資は前年同期比4.1%減(以下変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)に落ち込んだ。一方、4月、5月は輸出入ともに大幅増を記録しているが、4月は価格上昇の影響が輸出で半分弱、輸入ではほぼ全てという状況となっている。今後、中東情勢が安定化すれば、輸入価格の急上昇も抑制されていく可能性が高く、輸出の伸び率が輸入のそれを再び上回ることになろう。純輸出の増加が中国の実質成長率をある程度押し上げよう。
◆中国の実質GDP成長率は2025年の5.0%から2026年は4.5%に減速するとの見通しに変更はない。2026年の政府成長率目標である4.5%~5%の下限を辛うじて達成できるとの見立てだ。ただし、内需テコ入れのためには財政出動とさらなる金融緩和が必要になると思われる。2026年7月下旬には、恒例の党中央政治局会議が開催され、年前半の経済情勢を分析し、年後半の経済運営方針を決定する可能性が高い。財政出動やさらなる金融緩和を含め、今後の政策動向に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国経済見通し:2026年4月は急減速
固定資産投資は再び前年割れ、小売売上は微増にとどまる
2026年05月26日
-
中国:2026年は政府成長率目標の下限か
ただし、中東情勢緊迫長期化で下振れリスク高まる
2026年04月21日
-
中国:堅調スタートも持続性には疑問符
不動産不況、需要先食いのツケ、中東情勢緊迫化
2026年03月24日
-
中国経済見通し:2026年の全人代の注目点
2026年の政府成長率目標は前年比4.5%~5.0%に設定か
2026年02月24日
-
中国:今後10年の長期経済見通し
第15次5カ年計画の基本方針、山積する構造問題に処方箋を出せず
2026年01月21日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国経済見通し:不動産不況の底打ちに期待
見通しを2026年4.5%→4.6%、2027年4.2%→4.4%に引き上げ
2026年10月22日
-
中国:26年7~9月は4.5%成長の低空飛行
さらなる景気テコ入れ策の可能性も
2026年10月19日
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
最新のレポート・コラム
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
日本版米国型AWMビジネスモデルを創出するための条件
~投資銀行型と商業銀行型の比較~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
次世代の「地域金融の課題と競争のあり方」
~最新データに基づく地域銀行の競争可能性の再試算~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
マル優・NISA等の非課税制度が家計金融資産に及ぼした影響の長期分析
~家計の国債保有優遇策の検討に向けた政策的示唆~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
子どもが幼いうちは子育てに専念したい世帯にも目配りを
2026年10月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

