「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法

資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆「成長投資ガイダンス」は、無条件に株主還元を抑制し、成長投資を増やせと主張しているものではない。企業価値創造の前提は、資本コストを上回る資本収益性の確保であり、企業の成長ステージや投資機会に応じた柔軟な資本配分である。

◆価値創造(EP)は、ROIC-WACCスプレッドがプラスである、または将来的にプラスになる蓋然性が高い分野に投資が行われることで初めて実現可能となる。そのような投資機会が乏しい場合には、株主還元も合理的な資本配分手段である。

◆株主に還元された資金は、EP拡大が期待される分野に再配分されることになる。このダイナミズムは日本経済の成長の持続可能性を高める上でも非常に大事である。

◆これまでのコーポレートガバナンス改革や東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた要請」への対応により、資本収益性や株主資本コスト、それらのスプレッドであるエクイティスプレッドに関しては、かなり理解が広がってきたが、成長投資ガイダンスで注目されているROIC-WACCスプレッドやEPはより複雑で、これまでの応用問題ともいえる。

◆企業全体だけでなく事業セグメントごとに資本収益性を分析し、キャピタルアロケーションの考え方を投資家に説明することで、企業と投資家の対話は一段と深まり、相互理解もより促進されることになろう。企業と投資家の相互理解を高めるツールとして、このガイダンスは非常に有用だと思われる。

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