2026年06月17日
サマリー
◆「成長投資ガイダンス」は、無条件に株主還元を抑制し、成長投資を増やせと主張しているものではない。企業価値創造の前提は、資本コストを上回る資本収益性の確保であり、企業の成長ステージや投資機会に応じた柔軟な資本配分である。
◆価値創造(EP)は、ROIC-WACCスプレッドがプラスである、または将来的にプラスになる蓋然性が高い分野に投資が行われることで初めて実現可能となる。そのような投資機会が乏しい場合には、株主還元も合理的な資本配分手段である。
◆株主に還元された資金は、EP拡大が期待される分野に再配分されることになる。このダイナミズムは日本経済の成長の持続可能性を高める上でも非常に大事である。
◆これまでのコーポレートガバナンス改革や東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた要請」への対応により、資本収益性や株主資本コスト、それらのスプレッドであるエクイティスプレッドに関しては、かなり理解が広がってきたが、成長投資ガイダンスで注目されているROIC-WACCスプレッドやEPはより複雑で、これまでの応用問題ともいえる。
◆企業全体だけでなく事業セグメントごとに資本収益性を分析し、キャピタルアロケーションの考え方を投資家に説明することで、企業と投資家の対話は一段と深まり、相互理解もより促進されることになろう。企業と投資家の相互理解を高めるツールとして、このガイダンスは非常に有用だと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「累進配当」を採用するメリットと課題
株式相場が下落する局面ではTOPIXをアウトパフォームする傾向
2026年06月16日
-
日銀QTの現在地と国債買入れ減額停止の影響
貸出増加支援オペ残高減少で地域金融機関に目配り必要
2026年06月11日
-
増えつつある株主総会の月曜日開催
慣行となっていた月曜日開催回避だが、その必要性は薄れている
2026年06月08日
最新のレポート・コラム
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
-
「食料品の消費税率1%+中低所得勤労者への所得連動給付」案が軸に
先行導入の所得連動給付は年間給与所得対比+0.4%程度の可能性
2026年06月19日
-
中東向け乗用車輸出の激減は日本経済のリスクとなるか
国内販売と他地域向け輸出が生産下支えも、代替ルート開拓が課題
2026年06月19日
-
投資信託へのプライベートアセットの組入れ
制度設計上の論点と欧州・長期投資ファンド(ELTIF)からの示唆
2026年06月18日
-
AIガバナンスの深化とフィロソフィ経営
2026年06月19日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

