サマリー
◆ホルムズ海峡の実質的な封鎖以降、原油だけでなく、原油から精製されるナフサに対する供給不安も高まっている。ナフサ供給の約4割は国内生産だが、原料の原油は9割以上が中東産であり、中東からの輸入分のナフサも合わせると、ナフサ供給の8割超を中東に依存している。ナフサはサプライチェーンの上流に位置する物資の一つであり、ナフサの供給不安や価格高騰は、幅広い製品の生産減少や価格上昇につながる。
◆中東以外からの代替調達や石油備蓄の活用による生産が進んでいるものの、4月のナフサの国内向け販売量は前年同月比▲36%と大幅に減少した。需給のひっ迫や先行きの供給不安を背景に、5月のナフサ価格は2026年年初比+83%と急上昇しており、川上製品価格も高騰している。
◆仮にナフサ価格が80%上昇した状態が続く場合、企業間取引を表す投入物価は1.1%、家計が直面する消費者物価は0.23%押し上げられると試算される。投入物価上昇の大部分は川上の化学製品やナフサを含む石油製品によるものだが、消費者物価への影響は幅広い品目に及ぶ。また、ナフサ供給半減のテールリスクが顕在化すれば、化学製品を中心に実質GDPは0.43%程度押し下げられる。
◆テールリスクの顕在化やナフサ価格の高騰を抑制していくためには、ホルムズ海峡の物流が回復するまでの間は、原油やナフサの代替調達を引き続き進め、安定的な供給を確保することや、流通の円滑化を通じて供給不安の緩和を図ることが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
一時152円台に突入したドル円レート、日本経済への影響と円高の背景
10円の円高ドル安でGDPは▲0.16%も多くの企業・家計にはプラス
2026年09月09日
-
2026年9月日銀短観予想
AI・半導体需要で製造業は改善、非製造業はコスト増で悪化を予想
2026年09月09日
-
鉱工業生産は当面AI・航空・防衛関連需要がけん引
他方で、中東情勢等による下振れリスクに注意
2026年09月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

