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V-RESAS:アフターコロナの地方創生への活用期待

2020年09月04日

経済調査部 エコノミスト 鈴木 雄大郎

コロナ禍で日本経済は猛烈かつ急速な縮小を経験し、2020年4-6月期の実質GDPは戦後最大の落ち込みとなった。ただし地域別に見ると、緊急事態宣言の発出期間や自粛要請の範囲などの違いから、経済への悪影響の度合いは異なる。感染が拡大した地域ほど自粛期間が長く、自粛要請の度合いが強いという傾向が見られ、経済への打撃も大きかった。

こうした新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染症が地域経済に与える影響を可視化するため、まち・ひと・しごと創生本部と内閣府地方創生推進室は6月30日より「V-RESAS (Regional Economy Society Analyzing System)」というサイトを設立した。V-RESASでは政府や自治体が公表している統計ではなく、民間企業の保有するデータが集計され公表されている。とりわけ新型コロナの影響が大きい、人流、飲食、消費、宿泊、イベント、興味・関心の6分野において、それぞれ都道府県別や圏域別などに影響を見ることができる。一部のデータは週次で公表されており、より高頻度に影響を把握することができるのが特徴だ。

例えば、飲食ではRetty株式会社が運営する飲食店の口コミグルメサイト「Retty」から飲食店のウェブサイトの閲覧数を見ることができる。レストランの業態ごとに分かれており、緊急事態宣言期間中は居酒屋・バーなどが大幅に落ち込み、ファミレス・ファストフードなどは落ち込み幅が相対的に小さかったことなどが分かる。

政府はこれまで「RESAS」というサイトで地方関連の様々な統計を公表しているが、どちらかというと地域の経済構造を分析するためのデータが中心であり、短期的な景況感を測るものは限られていた。

また、そもそも地域ごとの景況感をタイムリーに把握するためのデータ自体非常に少ない。景気ウォッチャー調査などは速報性が高いものの、都道府県単位で細かく見ることはできない。鉱工業生産や商業動態統計は都道府県別に公表されているものの、全国ベースと比べると公表時期が1ヶ月程度遅い。

V-RESASではこうした、既存の公的な統計の弱みを補うことができる。前年同期比の変化率のみの公表であることや時系列の期間が短いことのため、詳細な分析への活用には課題が多いものの、既存の統計にはない項目も多数あり、新たな切り口からの分析を可能にしている。V-RESASでいち早く変化を捉え、公的な統計公表後に複合的に分析するような利用が望ましいと思われる。

V-RESASは現在、コロナ対応という形で時限的に公表されているが、コロナ収束後も地域の景況感を図るための手段として継続的に公表し、活用されるべきだろう。従来の「RESAS」と併用しながら、地方公共団体の政策立案や地域金融機関の中小企業支援等の業務などで活用され、地域経済活性化につながることを期待したい。

なお、V-RESASの具体的な活用事例として、9月7日に「V-RESASで見る福島県の観光動向」というコラムを掲載する予定である。こちらも併せてご覧いただきたい。

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