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withコロナ時代の政府消費

2020年08月17日

経済調査部 エコノミスト 山口 茜

2020年8月17日、4-6月期のGDP一次速報値が公表される。通常、GDP統計では個人消費や設備投資、輸出などが注目されることが多く、政府消費が取り上げられることはほとんどない。

しかし、実はGDPに占める政府消費の割合は個人消費に次いで大きい。内閣府によると、2019年度の政府消費は112兆円と、GDPの約2割を占めた(本稿の数値は全て名目値)。近年、政府消費は増加し続けており、GDPにおける存在感は年々増している。

政府消費は、個々の家計の便益などのために行う「個別消費支出」と、社会全体のために行う「集合消費支出」の2つに大別される。具体例として、前者は医療費や介護費のうちの保険給付分、後者は警察や防衛等への支出が挙げられる。近年は高齢化の進展等により、政府消費の中でも個別消費支出が趨勢的に増加してきた。一方、集合消費支出は2000年代以降、年間40兆円強で安定している。

しかし新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染拡大により、この傾向は一時的に変化するだろう。感染症対策としての政府消費(集合消費支出)が増加している一方、後述のように医療費(個別消費支出)が減少しているからだ。

社会保険診療報酬支払基金によると、診療報酬確定件数は4月に前年比▲22%、5月に同▲23%と大きく減少した。医療機関での感染への懸念から外来受診者が急減したことや、感染リスクを下げるために入院患者を制限したことなどが影響したと考えられる。ただし金額で見ると、4月が同▲11%、5月が同▲14%であり、件数と比べると減少率は小幅に留まった。このことから、比較的症状の軽い(かかる金額の少ない)人の受診が相対的により多く減ったとみられる。

緊急事態宣言解除後の6月分の診療報酬確定件数および金額の結果は本稿執筆時点で公表されていないが、家計調査における6月の医科診療代は4、5月と比べて増加したものの、依然として前年を下回る。軽い症状の場合は医療機関の受診を控え、市販薬などで対応したのだろう。

医療資源の希少性が増す中、真に必要とする人に医療サービスを適切に提供するためには、軽度の症状であれば自分で服薬により治療するセルフメディケーションの推進が欠かせない。コロナショックを契機に、図らずもセルフメディケーションの意識が広がっているとすれば、withコロナ時代にそれを定着、加速させるべきだ。

このように、政府消費の中身は大きく変わりつつある。コロナとGDPの関係を考える際は、コロナショックによる量の変化が注目されがちだが、その中身の質的変化も注視する必要があろう。

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