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大都市を離れて暮らすポストコロナ

2020年07月02日

調査本部 主席研究員 兼 社会連携担当 岡野 武志

東京都の発表によれば、東京都の人口は2020年5月1日現在で、1,400万人を超えたと推計されている(※1)。東京都の人口は、終戦後から高度成長期にかけて急速に増加した後、1970年代以降は比較的緩やかに推移する時期が続いた。ところが、21世紀を迎える頃から増加傾向は再び勢いを増し、直近の20年間で人口は200万人近く増加している(図表1)。全国の総人口が減少しはじめる中で、東京都では人口増加が続いているため、東京都への人口集中率は上昇している。東京都の人口に周辺3県の人口(神奈川県:922万人、埼玉県:735万人、千葉県:629万人)を加えると、東京圏と呼ばれるこの地域には、総人口の3割近くが集中していることになる(※2)。

図表1:東京都人口の推移

全国の総面積からみると、東京都の面積は0.6%、周辺3県の面積を合わせても3.6%を占めるにすぎない(※3)。大きな都市は広い平野に形成されることが多く、開発も進みやすいため、大都市周辺では可住地面積(※4)の割合は相対的に大きい。それでも、人口1人当たりの可住地面積を概算すると、大都市周辺では限られた地域に多くの人々が密集していることがうかがえる(図表2)。都市の中心部や通勤・通学で昼間人口が増加する場所では、密集の度合いはさらに高いことが推察される。限られた地域に人口や資産、さまざまな機能などが集中すれば、大規模な地震や風水害、伝染病などが発生した際に、多くの人々に被害が及び、その影響が甚大になることが危惧される。

図表2:都道府県別1人当たり可住地面積

情報通信技術や物流機能の発達に伴って、人々が働く場所や住む場所を制約される理由は少なくなっている。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、テレワークを導入した企業は多く、遠隔授業を実施している大学なども少なくない。仕事と教育に関わる仕組みを見直すことができれば、これまで人口の社会増減を引き起こしてきた流れを変えられる可能性がある。大都市を離れて広々と暮らすことができれば、混雑や渋滞に伴う負担が軽減され、行列や待機で空費する時間を減らすことも期待できる。食料や再生可能エネルギーなどを生み出せる地域で暮らす人々が増えれば、地域に活力をもたらすだけでなく、持続可能な経済や社会の形成にもつながるであろう。

価値の重心がモノからコト、量から質に移りつつあるとすれば、モノを大量生産する時代の延長線上にある考え方は切り替えていく必要がある。世界に分断や孤立が広がる中、ポストコロナの時代に本気でSDGsに取り組もうとすれば、国土の利用に一定の均衡を取り戻すことは、避けて通ることができない重要な課題の一つのように思える。

(※2)公表されている2020年5月1日現在の数値から算出

(※4)可住地面積は総面積から林野面積と主要湖沼面積を差し引いた面積

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主席研究員 兼 社会連携担当 岡野 武志