テレワークを通じて感じた業務改善ポイント

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2020年06月10日

  • データアナリティクス部 主任コンサルタント 内野 慈

厚生労働省が発表している「新型コロナ対策のための全国調査」(第3回)(※1)では、オフィスワーク中心の方のテレワーク実施率が26.83%(4月12日~13日)となっており、同第1回調査時の13.99%(3月31日~4月1日)から大幅に増えている。筆者も4月よりテレワークを経験したが、テレワークを行っていく中で、オフィスワークでは発生しなかったいくつかの問題に直面した。

まず、オフィスワーク時は対面で行うことが多い進捗確認などの報告業務への対応である。オフィスワーク時の報告業務は、確認報告を行いつつ必要に応じて意見交換もできるといった対面ならではの利便性があった。一方、テレワークで同様の業務を行う場合、これまで介在していなかったコミュニケーションツールの利用が必須となる。テレワーク開始当初は、電話、メール、チャット、テレビ会議など複数あるコミュニケーションツールをチームメンバーが思い思いに利用したことで、本来一番必要な進捗管理の確認漏れが発生した。この問題に対しては報告内容に応じコミュニケーションツールを選定、関係者へ事前共有するなどのルールを決めることで解決を図った。本対応を通じ、オフィスワークの対面を前提とした業務運営は普遍的ではないことに気づかされた。今後は、非対面でも対面同様のコミュニケーションがいつでもとれるよう、業務運営のルール整備が求められる。

また、大部分の業務は、テレワーク対応可能であったが、対外的な書類に対する捺印については、顧客側との調整も必要であり、一部対応が難しかったのも事実である。これらの業務は緊急避難的に未捺印でも対応可能な書類はそのまま提示したが、通常のオフィスワーク時に戻れば、捺印処理が必要な場合が多く、根本的な解決とは言い難い。この問題を解決するには、働き方に依存しない捺印の仕組みや書類の取り交わしの電子化といった「業務プロセスの改善」が必要となる。緊急事態宣言だけでなく、働き方改革によって、より多様な働き方へと変容していくことが想定されるため、あらゆる局面で対応可能となる柔軟な業務プロセスに変えていくことが求められる。

今般の緊急事態宣言に伴うテレワークの実施により、これまでは感じなかった業務運営のルールや業務プロセスにおける気づきがいくつかあった。これらの気づきは広く業務プロセスの改善につながるものであると感じている。緊急事態宣言に伴う働き方の変容を好機ととらえ、改善が求められる業務プロセスの洗い出し、とりまとめを行い、新型コロナウイルス終息後の抜本的な業務プロセス改善の足掛かりにしてみてはいかがだろうか。この取り組みが、企業の生産性向上につながっていくはずである。

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内野 慈
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データアナリティクス部

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