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いずれは向き合う親の看取り

2019年06月27日

亀井 亜希子

政府は在宅医療を推進しているが、2017年9月データで在宅医療サービスを提供している医療機関の割合をみると、病院の63.3%、一般診療所の35.7%に、現状留まっている(※1)。在宅医療は、診療所が提供しているというイメージが強いが、実際は、病院の取組みのほうが進んでいる。

在宅療養支援病院・診療所という看板を掲げていない病院・診療所でも在宅医療サービスを提供していることがあるため、親がかかりつけにしている病院・診療所にも、外来の通院ができなくなった際に備えて往診・訪問診療について相談をしてみると良いだろう。

人生の最終段階に療養したい場所について、65歳以上の高齢者の49.6~56.6%は、治る見込みがない病気になった場合でも「自宅」と考えている(※2)。自宅で日常的に訪問診療を受けながら療養したいという希望は、現状、実現できる環境は整っている。しかし、在宅医療サービスを提供している医療機関でも、在宅での看取りまで対応している割合は、病院の6.9%、一般診療所の4.7%にすぎない(※1)。つまり、高齢者が日常的に在宅で訪問診療を受けていたとしても、病気に伴う容態急変によって病院に移送され、そこで最期を迎えるケースがほとんどである。

現在、ほとんどの病院・診療所が在宅での看取りに対応していないばかりか、在宅医療の実態としては、患者の身体状況に応じた医療の必要度・ニーズというよりも、利益優先という面が強いとの声も聞かれる。患者の体調には波があるため、頻繁な診察が必要なわけではないが、診療報酬の算定要件から、手厚いケアの名目で、一律に月2回以上の医師による訪問診療、さらに、医師不在や処方不要のケースに対応するとして週1回以上の看護師による訪問看護の併用を必須としている病院・診療所が多い。1割の自己負担の場合、月2回の訪問診療で7,000~8,000円かかり、入院するよりは安いが、通常月1回の外来受診(数百円~2,000円台)よりは明らかに高い。

在宅医療は、サービスの供給量の整備ばかりに目が向けられ、利用者にとって質が低いケース、不十分なケースが発生していることが問題である。在宅医療支援診療所の看板を掲げている診療所でも、夜間・休日は対応不可、毎月2回以上の訪問診療の依頼でないと引き受けない、看取りは通常行わない、院長1人体制のため実際は外来診療だけで手一杯で往診・訪問診療はしていない等の場合がある。各地域の地域包括ケアセンターに行けば、確かに訪問エリアの病院・診療所の情報を教えてはくれる。しかし、医療の質までは関知せず、センターと親交が深い診療所を推薦してくることもある。Webサイトやパンフレットがあてにならないことも少なくない。かかりつけの診療所・病院が、在宅医療サービスを提供する診療所・病院を紹介することも一般的ではない。

そんな時に頼りになるのは、要介護者・家族と直に接しているケアマネージャーである。介護保険で訪問看護サービスを使用しない場合でも、要介護認定を受けている高齢者であれば、生活全般の相談に乗ってくれる。日頃から信頼関係を築いておこう。

最近は、健康寿命の延伸とともに、健康な高齢者が増加している。自力または家族の介助により、近所の診療所・病院の外来を受診している高齢者は多い。そうした高齢者の老衰要因による自然死の看取りニーズも増大している。

しかし、老衰による自然死ほど、本人にとって望ましい最期を実現することが難しい。月1回の訪問診療で済むような医療必要度の低い高齢者は、在宅医療サービスとしては利益率が低いため、引き受けてくれる病院・診療所は非常に少ない。

高齢者が、自宅で自然に亡くなっていた場合、持病または老衰に基づく死亡であることが医師によって確認され、その旨の死亡診断書が作成されない限りは、死因不明の異状死とみなされる。医師の訪問が不可能であれば、警察を呼び、第一発見者・家族等が事情聴取を受けることになり、事件性が払拭されない場合には、司法解剖に回される。

自宅で療養している私の祖母は101歳になった。外来受診させながら元気に過ごしているとはいえ、数年後に、自宅での最期を望ましい形で迎えさせてあげるための準備も徐々に考えていく必要がある。一体どうしてあげればよいのか、まだ答えは出ていない。

(※1)厚生労働省「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
(※2)内閣府「平成24年度 高齢者の健康に関する意識調査結果(概要版)」

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