SNS時代のリスクとリスク対策

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2019年04月17日

  • 大村 岳雄

今やSNSは、年代を問わず広く使われるようになった。SNSの情報拡散力は従来の新聞・雑誌・テレビといったメディアに比べてずばぬけており、上手に活用すれば有効な情報発信のツールとなるが、ネガティブな情報も同様に瞬時に拡散することになる。そのため、会社や組織の一員による何気ない投稿がその会社や組織を窮地に追い込むケースも発生しているのは周知の通りである。SNSのメリットを十分に享受するためにも、SNS活用上のリスクを正しく理解することが大切である。

何気なく無意識のうちに書き込んでしまうリスクは主に3つに集約される。まずは、(1)機密情報の漏洩、(2)顧客のプライバシーを侵害、(3)悪意ある人に会社や個人が狙われる、といったケースである。

(1)機密情報の漏洩
SNSのアカウントは、個人での取得を前提としている。普段の会話のように友人や知人に対して書き込んでいるうちに、うっかり会社の情報を漏らしてしまうことがある。
特に「実名登録」であるFacebookの場合、具体的な社名や個人名、案件名を公開していなくとも、関係者からは投稿内容によっては業務内容や案件が判明してしまうことがありえる。また、「友達」という範囲指定にも慢心していてはいけない。友達のネットワークを通じて情報が拡散する可能性があることに留意しておく必要がある。

(2)顧客のプライバシーを侵害
SNSの普及で、自分達の日常を投稿する際、目の前で起こった光景を何気なく書き込んだり、撮影した写真をアップしたくなる。
しかし、それが顧客や有名人、取引先など他人の様子であった場合、プライバシーを侵害することになる。小売、外食などのサービス業ではかつてこれらに該当する不祥事が発生している。従業員への教育研修だけではなく、派遣社員やアルバイト等にも注意喚起をすべきである。しっかりとした良識を持つことと、SNSの利用では公私の区別をつけるような指導が大切である。

(3)悪意ある人に会社や個人が狙われる
SNSを利用していると、面識もない人や友人に似た名前の人から「友達」申請が届くことがある。それらを安易に承認すると個人情報や行動を開示することになってしまう。
一方、コミュニケーションを促進させるために個人情報を開示しすぎると、自身の行動を監視されるだけでなく、自宅まで知られてしまい防犯上問題になる可能性もある。スマートフォンで撮影した写真には位置情報が記録されているものが多く、外出先の居場所を知られる、自宅を特定される可能性もある。
また、SNSの情報拡散力に狙いをつけて悪意のあるアプリケーションがばら撒かれ、個人情報の盗難やシステム障害に陥ることもある。「友達」が紹介するアプリケーションだとしても安全性を十分に確認してから使うように心掛ける必要がある。

以上3点を踏まえて、SNSを利用する際の注意事項を役職員に指導していくことが重要である。

最後に、個人でのSNS利用での7つの留意点、企業におけるSNSの利活用での5つのポイントを掲げておきたい。

○個人のSNS利用時の7つの留意点

個人のSNS利用時の7つの留意点

○企業や組織がとるべきSNSへのリスク対策

企業や組織がとるべきSNSへのリスク対策

なお、こちらの詳細は「ソーシャルメディア活用におけるリスク管理」(大和総研コラム 2013年07月31日)を参照(※1)。

SNSの活用に当たっては、改めてSNSの特性とリスクをよく認識してリスク管理対策を講じ、適切に活用していくことが求められている。

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