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空気が読めない(KY)は企業のリスク管理のKPIにつながるか

2019年04月02日

菅原 佑香

ESG投資に対する関心の高まりが、企業の非財務情報の開示や充実度を求める流れとなってきている。

一般社団法人日本能率協会が2017年に実施した「第38回 当面する企業経営課題に関する調査 日本企業の経営課題2017」より非財務指標に関する重要度の変化を見ると、企業が「以前より重要度が高まっている」と回答する割合が最も高い項目は「ダイバーシティ(女性管理職比率等)」であり、次に「健康経営の推進」や「従業員エンゲージメント(従業員満足度調査指標等)」等と続く。企業の働き方やダイバーシティが注目される中、特にESGの中でも「Social(社会)」の要素が関心を集めているのかもしれない。ただ、企業が重要度を認識する一方で、「KPIまでは設定されていない」と回答する企業割合は約6割と高い。今後の課題はいかに有効なKPIの設定をするかであろう。

一般に、「社会」にかかわる非財務情報のKPIとしては、ダイバーシティ分野であれば、女性管理職や女性役員比率、外国人や障がい者雇用の比率といったものが多い。また従業員の満足度やモチベーション等の調査結果をKPIとする例も見られる。しかし「社会」の本質的な課題を捉えるためには、前向きな変化以外に目を向けることも重要だ。職場内の望ましくない変化を捉えることで、実は企業の様々なリスクを減らすことにつながることもあるのではないか。

例えば、企業のガバナンスにおけるリスクを例に考えてみよう。ESG優良企業と評される大手企業の不正や不祥事の発覚が、近年相次いでいる。リスクや問題の顕在化は企業の持続可能性を脅かすことにつながる。株主や投資家、取引先といったステークホルダーは、企業の不正や不祥事の予兆を把握したいというニーズを持っている。だが、投資家からは「企業と面談していると、不正や不祥事の予兆として企業内の『空気』が変わるというが、『空気』なんて分からない」といった声も聞かれる。

しばしば「空気が読めない(KY)」とか「空気を読め」などというが、その類のものなのかもしれない。企業には多様な人が働いており、それぞれの人の感情や心理状態は組織に強く影響する。人の心が職場の「空気」に表れているのかもしれないが、その把握は容易ではない。企業の前向きな変化を表す情報をKPI化するだけでは企業のリスクは軽減されないし、様々なステークホルダーからしても、企業が本質的に抱えている問題を見抜くことはできない。

「空気を読む」とは暗黙のうちに、その場の雰囲気を察した言動や行動を心がけることだ。おそらく、それは人の表情や言葉の強弱などから人の心をどう読むかということである。リスクが顕在化する予兆でもある企業内の「空気」の変化は、「社会」の要素を測る重要な要素の1つだ。将来、人の体温や表情、言動などから職場の「空気」を定量化できるようになれば、「ガバナンス」におけるリスク管理のKPIとなり、現在の非財務情報の有用性の限界を克服できる日が来るかもしれない。

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