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院外処方箋への検査値印字の取組み

2019年03月28日

亀井 亜希子

最近、自身がかかりつけにしている病院でも、院外処方箋に血液検査値の一部が印字されるようになった。法的な義務付けも診療報酬の加点もなく、病院の自主的な取組みによるものである。

表示する血液検査値の項目は、医療機関の判断で12~20項目と幅があるが、薬剤師が医薬品の副作用確認をするための必要項目に限定されている。各検査値の基準値、身長・体重、病名も併せて印字するケースもある。

医療機関で、院外処方箋への検査値印字の取組みが検討されるようになったきっかけは、2011年3月に日本で販売が開始された血液凝固阻止剤「プラザキサカプセル」による出血性副作用の多発である。販売後、約半年間で、関連性の否定できない死亡例が5件発生したため、製造会社が安全性報告を発表するとともに、厚生労働省が、医薬関係者に注意喚起を行うに至った(※1)。

2015年には、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を発表し、薬剤師がこれまで以上に専門性を発揮することが期待されている。ビジョン実現のためのKPIの1つとして、検査値や疾患名等の患者情報を医療機関から受け取った実績が掲げられ、薬局での服薬指導のための情報提供が大学病院だけでなく民間の大病院にも広まってきた。しかし、院外処方箋の様式変更には、電子カルテの更改が必要となるため、コストや手間がかかり、対応していない医療機関のほうがまだ多い。

大学病院では、2010年2月に岐阜大学医学部附属病院が取り組みを開始して以降、国公私立の全81大学のうち25大学の病院(※2)が処方箋を通じた情報提供に取り組んでいる。附属病院を持つ大学別の取り組み率をみると、国立大学が45%(19大学/42大学)と高い一方で、公立大学が25%(2大学/8大学)、私立大学が13%(4大学/31大学)と低い。

医薬品に、警告、禁忌、原則禁忌、慎重投与、併用禁忌、原則併用禁忌、副作用などの情報がある場合、薬を処方する医師だけでなく、薬剤師によるダブルチェックを加えることで、薬剤によって生じる副作用や死亡の事故を回避することができる。さらに、生活習慣病の患者は、通常、毎月1回、かかりつけ薬局に、処方薬を受け取りに立ち寄ることを考えれば、薬剤師が検査結果の情報を把握することによって、生活習慣改善の動機付けが有効に実施される効果も期待できる。

医療費の増大が社会問題になるなか、2017年11月の内閣官房行政改革推進本部の行政レビューの中で、1処方当たりの平均的な技術料が院内処方で940円であるのに対して、院外処方では2,900円と約3倍の格差がある現状が指摘され(※3)、薬剤師が調剤報酬に見合った価値を提供しているのかが争点になった。医療機関全体で院外処方箋への検査値印字が進めば、薬剤師が調剤技術を発揮できる状況に一歩近づくだろう。

(※1)厚生労働省 報道発表資料「血液凝固阻止剤『プラザキサカプセル』服用患者での重篤な出血に関する注意喚起について」(平成23年8月12日)
(※2)岐阜大学医学部附属病院(2010年2月~)、福井大学医学部附属病院(同年4月~)、北海道医学部附属病院(2013年9月~)、京都大学医学部附属病院(同年10月~)、京都府立医科大学附属病院(2014年1月~)、岡山大学医学部附属病院・愛媛大学医学部附属病院(同年5月~)、千葉大学医学部附属病院(同年10月~)、熊本大学医学部附属病院(同年12月~)、鹿児島大学病院(2015年1月~)、琉球大学医学部附属病院(同年2月~)、滋賀医科大学医学部附属病院・三重大学医学部附属病院(同年5月~)、聖マリアンナ医科大学病院・九州大学病院・宮崎大学医学部附属病院(同年6月~)、横浜市立大学附属病院(同年12月~)、大分大学医学部附属病院(2016年1月~)、獨協医科大学病院(同年2月~)、鳥取大学医学部附属病院(同年3月~)、旭川医科大学病院(2017年2月~)、福岡大学病院(同年4月~)、東京慈恵会医科大学附属病院・香川大学医学部附属病院(2018年1月~)浜松医科大学医学部附属病院(同年4月~)

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