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セミオーダーメイドで「三方良し」?

2019年02月21日

経済調査部 経済調査部長 山崎 加津子

2月1日に発効した日欧経済連携協定(EPA)の影響に関するニュースを検索していたところ、日本経済新聞に面白い記事を見つけた。2018年12月15日付の記事で、女性のパンプスのサイズ展開が格段に多様化していることを報じた記事だが、その背景に日欧EPAの発効を目前に控え、競争激化への危機感があるという。EUから輸入される革靴の関税は、従来の最高30%から10年をかけて0%に引き下げられることになっている。具体例の一つに挙げられている高島屋日本橋店の靴売り場に新しくオープンした店では、実に288種類のサイズのパンプスの中から、左右それぞれに自分に合ったサイズを選び、色や素材を選んで注文する「セミオーダーメイド」ができるという。

パンプスは足を覆う面積が小さく、また靴紐で調整することはできないため、足にぴったり合うことが望ましい。ところが、普通の靴屋で販売されている既製品のサイズ展開はかなり限られている。「標準的」なサイズから、少し足の長さが長くても短くても、足幅が広くても狭くても、足に合うパンプスを見つけることはぐっと難しくなる。合わないパンプスを我慢して履いた経験のある女性は少なくないだろう。

個人的な経験になるが、足幅が広いため、特に社会人になりたての頃は足に合うパンプスを見つけることに非常に苦労した。とにかく足が入ることが最優先事項で、色やデザインを選ぶぜいたくはできなかった。それが一変したのが、ドイツに赴任した時である。大きなサイズのパンプスがずらりと並び、自分の足に合うパンプスもすぐに見つかった。デザインの選択肢は実はあまり多くはなかったが、足が痛くならない歩きやすさを手に入れた。日欧EPAで靴の関税が0%に引き下げられれば、そのドイツだけでなく、イタリア、フランス、スペインなどの靴も日本での販売価格が大幅に引き下げられる。

日本の既製品のパンプスのサイズ展開が限られてきたのは、作ってもあまり売れないサイズの商品を発売することが難しいためと考えられる。大量の売れ残りが出ることは回避しなければならないが、他方で微妙に足に合わないという買い手の不満を取りこぼしてこなかっただろうか。多様なサイズ展開でのセミオーダーメイドは、このような売り手と買い手の双方の問題を解決する可能性を秘めている。売り手が用意するべきは多様なサイズの見本のみで、販売する製品は注文後に作るので売れ残りは出ない。一方、買い手側は、価格は既製品より高額になるものの、自分に合ったサイズに巡り合える可能性が大いに高まる。足に合う、気に入った色と素材のパンプスを購入した場合、しっかり手入れをして長く履こうと考えるだろう。売れ残りが出ないことと合わせて、資源の有効活用にも一役買うかもしれない。というわけで、今度、セミオーダーメイドのパンプスの履き心地を、実際に体験してみようと考えている。

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山崎 加津子

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