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SDGsはリスクか?チャンスか?

2019年01月30日

経営コンサルティング第二部 主席コンサルタント 竹田 哲郎

SDGsがじわじわと拡がってきた。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの『持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals』で、簡単に言えば「人類や地球にとって良いことをやっていこう」というのがその趣旨。前身であるMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)では貧困削減色が強かったのに対して、気候変動対策、海洋資源や森林の保護などへも対象を拡大し、自然環境保護の色合いが濃くなっている。

SDGs が拡がりを見せている理由はここにあると考える。MDGsは開発援助における「貧困撲滅」という目標を継承したため、「貧困層を助けよう」というイメージがつきまとい、貧困層以外の人々にとってどこか「他人ごと」になってしまった。一方、SDGsでは自然環境保護色が強まったことで、そうした人々にとっても「自分ごと」になったのである。「どこか遠くの国の話ではない。気候変動が激しくなったり、海が汚れたら、自分や子供たちの生活にも悪影響がある」と多くの人が感じたのである。この「他人ごと」から「自分ごと」へのパラダイムシフトによって、SDGsは日本においても浸透していくと考えている。

そうであるならば、日本の企業にとってはどのような影響があるだろうか。端的に言えばSDGsはリスクなのか、それともチャンスなのか。

日本政府や経団連では、「SDGsは企業にとって、イノベーションのチャンスである」としている。消費者の意識が変わったのであれば、それに合わせた新たな市場開拓が可能、というわけである。正論である。私たちコンサルタントも企業に「SDGsを成長戦略に繋げましょう」と提案している。

しかし、「イノベーションや成長戦略と言われても、わが社で簡単には…」という声があるのも事実である。いや、むしろ数としてはこちらの方が多い。こうした企業にとっては、SDGsに対応できていないことで消費者だけでなく、取引先、地域社会、社員、採用学生、投資家や株主など、あらゆるステークホルダーから支持を得られなくなるリスクがある。

では、こうした企業はどうしたらよいのか。私たちのコンサルティングでは企業活動をSDGsの視点で見直すことから始めている。例えば、「働き方改革で工場の生産性向上に取り組みましたね。その結果、稼働時間が短縮され、電力消費量も削減できたので、CO2排出量抑制に貢献したわけです。それってSDGsですよね。」といった具合である。イノベーションに繋げることは無理でも、企業活動が結果的にSDGsになっているケースは意外に多い。あとはそれを如何にしてステークホルダーに伝えていくか、を検討する。これができれば、リスクはむしろチャンスになっていくのである。

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