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新春を迎えて

2019年01月01日

理事長 中曽 宏

2019年、日本は新しい元号の新しい時代を迎える。平成の30年間は、どのような時代だったのだろうか。

国際的に見ると、平成は長らく続いた東西冷戦の終結から始まった。世界経済は、「平和の配当」を享受し、繁栄の時代を迎えたかのように見えた。しかし、リーマン・ショックに象徴される国際金融危機を境に様々な矛盾が表面化した。格差や移民、新しい超大国の出現など様々な対立の構図が錯綜している。テクノロジーでは、インターネットの普及とそれによるグローバル化の加速も、平成を際立たせた出来事として記憶されるだろう。

一方、日本経済を振り返ると、平成はバブルの崩壊とともに始まった。日本全体に拡がった熱狂(ユーフォリア)の中で膨らんだ「期待」は一挙に剥落し、日本は長い試練の時代を迎えた。後に「失われた20年」とも形容されるこの時代は、金融仲介機能の損傷、長期デフレ下での経済活動の停滞、少子高齢化という複合的な要因によってもたらされた。後に多くの国が直面することとなった課題に他国に先駆けて遭遇したという意味で日本は「課題先進国」だった。

日本は、様々な課題へ取り組み、成果を生んできた。例えば、金融システムを守るセーフティネットは盤石なものになった。非伝統的金融政策が他国に先駆けて実施され、機動的な財政政策とのポリシーミックスによって停滞を脱し、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなっている。少子高齢化が進んだ半面、平均寿命は長くなり、労働時間も減少して人生や余暇を楽しむ時間が増えた。女性の社会進出が進み、人手不足を補う省力化投資等の企業努力が労働生産性を向上させ、日本の潜在成長率の上昇に寄与している。そうしてみると「失われた20年」というのは一面的な見方に過ぎるように思われる。

もちろん、まだ、潜在成長率の引き上げや持続可能な財政構造の確立といった課題は残っている。将来世代が豊かに安心して暮らせる経済社会を構築していくのは、私たち世代の責務だ。そのために確実な第一歩を踏み出せるか、今年は試金石となるだろう。

現在、世界経済の成長モメンタムは失われてはいないとみているが、不確実性は、かつてないほど高い。その中で今年、日本が初のG20 議長国を担う。課題先進国としてのこれまで蓄積された知見と経験を活かし、世界経済にとって適切な進路を見出だしていけるよう、国際社会でのリーダーシップを発揮する千載一遇のチャンスを、ぜひ活かしてほしいと切に願っている。

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