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「総括的な検証」で日銀は何を示すのか

2016年08月29日

菅谷 幸一

日本銀行は、7月28-29日の金融政策決定会合後の声明で、次回会合(9月20-21日)において、量的・質的金融緩和導入以降の経済・物価動向や政策効果の「総括的な検証」を行うことを表明した。この「総括的な検証」を巡っては、どのように行われるのか、どこまで踏み込んだ内容になるのか、といった点に関心が集まっているようである。検証は2%の物価目標を「できるだけ早期に実現する観点から」行うと位置付けられており、その評価次第で政策枠組みの修正ひいては新たな枠組みへの転換が行われる可能性があると捉えられているからであろう。中には、「総括的な検証」に言及したこと自体が、政策枠組みの見直しを暗に示すものとの見方もある。

政策枠組みの修正がより意識されるようになってきた背景には、現行枠組みの持続性に対して懐疑的な見方が強まってきたこともあるだろう。もともと、現在の枠組みは、2%の物価目標を2年程度の期間で達成することを前提に策定されたものである。「異次元」と冠されるほどのかつてない規模の緩和手段が導入されたのも、短期決戦を見込んでのことであったと言える。しかし、導入から3年が経過した今も、物価目標の達成時期は見通せていない状況にあるが、量的緩和の国債買入れペースは維持されたままである。

現在、日銀の国債買入れオペは、保有残高が年間約80兆円のペースで増加するように行われている。このペースは、国債の新規発行分(年間30~40兆円)を大きく上回っているため、日銀は既存の金融機関保有分を含めて購入している。2015年8月に公表されたIMFのワーキング・ペーパーによれば、日銀の国債買入れは、現行ペースを前提にすると、銀行の担保需要、生保のALM方針、年金の資産構成設定という制約により、早ければ2017~2018年には限界が訪れると試算している。IMFの試算はあくまで1つの見立てとして考えるべきではあるものの、現在の国債買入れの規模やペースを長期にわたって維持することは困難と言えよう。

国際金融危機後、主要中央銀行は、金融緩和の手段として国債購入を進めてきたが、日銀の国債保有量は他の主要中銀と比較しても突出して高い水準にある(※1)。金融政策を平時の運営に戻す際、中央銀行の資産規模が大きいほど、出口政策が困難になることから、日銀が他の主要中央銀行よりも大きいリスクを抱えていることを意味する。出口政策を論じるのは時期尚早ではあるものの、日銀のバランスシートが膨らめば膨らむほど、将来の金融政策のかじ取りが難しくなってしまう点には、今後も留意する必要があるだろう。

先行きの不透明感が強まる中、物価目標達成への道筋をどのように示していくのか。まずは次回会合における「総括的な検証」で日銀がどのような評価を下すのか、注目したい。

(※1)中央銀行の保有国債残高の対GDP比を比較すると、2008年末時点では、日銀:24.5%、FRB:15.2%、ECB:21.6%であったが、2015年末時点では、日銀:76.7%、FRB:24.9%、ECB:26.7%と、他を大きく上回っている(出所:Haver Analytics)。

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